0466 交渉術4 合意に達するまでの障害、問題は相手の頭の中にあ

さて、交渉の目的が自己あるいは自社の有益にあるなら、不利益な条件は全て断り、有益性も見つけることができなければ、その交渉自体を決裂に導けば良いのだろうか?交渉を断ち切った場合、他のよりよい交渉相手はいるのだろうか?

合意に達するまでの「障害」とよべる不利益要素は多くの場合、自分の立場だけではなく相手側にもあります。そして、その不利益な障害なるものは相手の頭の中に存在します。
この時「不利益」なる要素は、紙面に提示された条件とは限りません。むしろ書面以外のことが深く関与していることも多くあります。そもそも交渉相手そのものが好感の持てる相手ではない、ような場合。感情が支配的であるなら、いくら友好的な条件を譲歩したところで最初から合意の余地は皆無かも知れません。

「問題は相手の頭の中にある」、このことは書面上の条件は相手と自分の共有された認識であり、書面以外の情報が相手の頭の中にあり、自分も相手からみれば同様に頭の中にあることになります。

例えば、靴の販売店がスニーカーの仕入において問屋やメーカーと交渉するとします。
商品のデザイン、カラー、サイズ、それぞれの数量、仕入価格、納期などにおいて条件を詰めます。この時、契約する条件項目は相手と自己ともに共通の認識となります。それぞれの条件を確定するまでの交渉において、何が障害となっているかは会話によって相手の頭の中を探るか、推測するしかありません。
売店の担当者は、もともとこの商品は芸能人がテレビで話題にしたため、急に売れ行きが良くなった。それまでは殆ど問い合わせもない。このような事例では販売期間がかなり短い。パッと火がついて直ぐ見向きもされなくなる。それから近隣の競合店にも商品は並び、たいして売れないのではないか?過去にあった同様のケースではかなり在庫が残った。それにこのバイヤーはいつも調子のいいことばかり言って在庫が残っても知らん顔だ。

一方、バイヤーの方は、この仕入担当者はメディアの情報に疎い。このメーカーのスニーカーは、いった
ん話題になると長期に渡って売れる。他社とは一線を画すことを理解しているだろうか?それから商品の演出も消極的だ。いつも細かい数量で、あり得ない価格を言ってくる。どうも本腰になって売りたいと言う意欲が感じられない。もっと若い担当者に替えればいいのに。

上記のように、小売店側は無駄なく安く仕入をしたい、バイヤー側では大量に高く売りたい、こうした立場の違いから思惑が異なることは当然と言えます。しかし、立場以外にも相手へのイメージや過去の言動が、交渉の障害となり得ることは多くあります。このことが「問題は相手の頭の中にある」という障害の一つです。

★コラム→http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/
★資格→http://d.hatena.ne.jp/sotton+sikaku/
★ブックガイド→http://d.hatena.ne.jp/sotton+book/
★総合案内→http://d.hatena.ne.jp/sotton+sogou/

ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術

ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102