0443 転職のスキル、準備編40 EQリーダーシップ

リーダーシップが必要とされる能力を規模によって紹介してきました。これらは人材能力評価のコンピテンシーによるものです。評価のカテゴリー分類なので、何の能力がどの程度必要とされるかは、その仕事や環境によってことなります。
このコンピテンシーとは別に、EQリーダーシップではタイプよって区分されています。実際に企業風土の影響を受ける職場や事業所でのリーダーは、このタイプ別リーダーシップに凡そ当てはまります。しかし、意図するところは必要に応じて、リーダーシップのタイプを使い分けることです。


(87)ビジョン型・・・・・全体の方向性を見失っているとき
リーダーが将来の事業の姿を見せ、方向性を示すことによって人を動かします。最も前向きなリーダーとしての位置づけで、業績が停滞、下方に向かっている場合や、組織そのものが膠着、活気がないときに効果的な手法です。ただし、この掲げるビジョンは多くの人が魅力を感じ、共鳴するものでなくてはなりません。
ビジョンは「経営理念」と通じるものがありますが、経営理念は企業における意思、存在意義、あるいは最も広範囲に及ぶルールであるのに対し、ビジョンは将来の姿、具体的な方向や規模を提示します。

(88)コーチ型・・・・・部下、組織全体のスキルアップが必要なとき
ビジョン型がリーダー主導で1つの目標や姿を提示し、それに向かって一丸となって進んでゆくことに対して、コーチ型は個人個人の希望や理想を取込み、それを組織の目標に結び付けて活性化し、協働によって前進してゆきます。
個々の能力を伸ばすこと、成長してゆくことを援助し、各個人のスキルアップによって全体のレベルを上げます。コーチは助言や支援、チャンスを与え、ときにはカウンセリング機能も果たします。
コーチング技術では、質問によってやりたいことを自覚させ、動機付けを行い、目標設定して、パートナーとして進んでゆきます。この時、コーチは解答を持ち合わせていません。あくまでも質問や会話のやり取りで、本人の意識、言葉から動機や目標を導きます。

(89)関係重視型・・・・・・組織内、職場内の信頼関係が低いとき
組織、あるいはその職場にいる従業員同士の信頼性を高め、協働力を強固なものとし、チームワークによって目標を達成します。関係を友好的に築くことは、まず、自己の性格や能力を知り、相手の性格や思考の多様性を身に付け、能力の様々な種類を見つけ、相手を尊重し認め、互いに補完しあう関係に進むことです。これをリーダーシップによって、個々の関係を修復し、場合によっては紛争解決の介入をして、全体の活性化を図ります。
この問題は、個々の能力より心理面の成長が鍵となります。リーダーの役割は、コーチの場合は個々の能力を重視しますが、関係重視型の場合は対人スキルとしての感情コントロールの育成が重要となります。

(90)民主型・・・・・・従業員の自発性、協働性を育みたいとき
問題解決、提案、意見、改善点、アイデアなどを従業員や構成されたチームなどからコンセンサスを経て組み上げ、もしくはミーティングやブレインストーミングによって共有します。リーダーは、部下や従業員に対するコミュニケーションをし易い環境を整えることが必要で、そのための時間も捻出します。そうして下部から情報を集めて調整してゆきます。
これは現場の従業員や、構成されたチームで仕事を行う場合、同じ目標に向かって仕事を行うのですが、立場や利害が異なる関係であったり、年齢や人種等がバラバラであるような環境で有効な方法と言えます。また、リーダーそのものが他部署からの異動であったような場合、仕事内容や職場に関する知識が希薄なため、主導権を取ることが困難である場合でも有効とされています。

(91)ベースセッター型・・・・・迅速に成果を求めるとき
ベースセッター型は、有能な部下、従業員を集め、高い目標を設定し、必要であればリーダー自ら手本をみせ、短期間で目標とする成績を上げます。営業や販売等の職種に多く、能力を育成することより結果を重視します。
このタイプのリーダーは強引で強行的な要素を持ち、その分リスクも高く、成果が出やすい一方、職場環境の険悪、従業員が辞めたり、仕事に支障をきたしたり、あるいはパワハラ等の問題も起こりやすい、倫理性の低い状況になりがちです。リスクを考えると短期的には向いていますが、長期的にはかなり困難なリーダーシップの手法であると言えます。

(92)強制型・・・・・・緊急事態などの場合に向いています
例えば災害等の場合では、何をどう処理してゆくのか、優先順位や責任の所在など混乱の中にあります。リーダーの指示や命令を最優先の対応として強制する必要が出てきます。災害の他には、倒産やその後の再建中などが該当します。
リーダーは経験豊富で有能でなければなりません。指揮のミスが混乱や不利益を招き、取り返しがつかない事態に陥ります。強制型のリスクは、ほぼリーダーが背負うことになり、平常時や長期的な計画には向きません。強行的な指揮が日常化すると、現場の者が不満や不平を抱え、その場限りの対応で士気を失い、責任感も失い、様々なリスクが増大してゆきます。
      


EQリーダーシップでは上記6つの型に区分され、(87)〜(92)までは前向きな手法で、上から順番に長期的リーダーシップの型とされています。(91)(92)は短期的、緊急時などの場合と限定されていて、その副作用のリスクは取り返しのつかない決定的な危険を孕んできます。

EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方

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