0343 所得税145 変動所得と臨時所得

変動所得と臨時所得は前回で簡単に説明したように、経常所得グループでありながら、その収入の性質上で偏りがあるもの、あるいは数年に渡る役務の提供をある年に一括して支払われる場合が該当します。

例えば、作家が去年は発行される小説がなく、今年に新作の小説がベストセラーとなって印税がたくさん入った場合、去年と今年の収入に大きな格差が生じます。経常所得では原則、累進課税となるため、一度に高額な収入であれば税率が高くなり、サラリーマンのように毎年、変動の少ない収入に比べて公平さを欠きます。このような特殊な収入を考慮して変動所得と臨時所得では平均課税という特別な計算によって課税されます。

●変動所得
変動所得とは毎年、年々の収入の変動が著しく事業所得または雑所得に属する所得を言います。具体的にはつぎのような所得が挙げられます。
(1)漁業などで、漁獲の水産物などを販売して得られた所得。
(2)はまち、真鯛、ひらめ、牡蠣、ウナギ、帆立貝、真珠の養殖から得られた所得。
(3)海苔の採取から得られた所得(昆布、わかめ等の水産植物は含みません)。
(4)原稿、作曲の報酬(挿絵、イラストなどは含ません)。
(5)著作権の使用料に係る所得(著作権者以外の利用、代理、管理等は含みません)。

●臨時所得
臨時所得は、不動産所得と事業所得もしくは雑所得に該当する所得で、一定の条件を満たす契約金や権利金などが対象となります。
(6)例えば、スポーツ選手等で3年以上の期間を専属して役務の提供を果たし、その契約によって一時的に受取る契約金が、年間報酬の2倍相当額以上ある場合。
(7)不動産などを3年以上の期間、他人貸付けることで一時的に受ける権利金等で、その権利金が年間使用料の2年相当額以上ある場合。
(8)業務の全部または一部の休止などで3年以上の期間、その所得補償として受取る補償金(収益補償金、経費補償金、棚卸資産の対価補償金、固定資産の遊休期間中の減耗補償金)。
(9)3年以上の期間にわたる、不動産貸付の対価の総額を一括して受取る賃貸料。
(10)不動産に係る損害賠償金等で、その計算の基礎となる期間が3年以上である場合。
(11)金銭債権の債務者から受ける債務不履行に基づく損害賠償金で、その計算の基礎となる期間が3年以上ある場合。

上記の変動所得と臨時所得は、通常では「平均課税」という特殊な計算を要します。平均課税の適用が判定される算出式は次のようになります。
A=その年分の変動所得金額
B=その年分の臨時所得金額
A + B ≧ その年分の総所得金額 × 20% 
平均課税の計算に関しては次回に!
★給与計算と所得税http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131229
★上記文中の「総所得金額」については当ブログ0334所得控除の計算手順を参考にして下さい
http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131223
所得税の課税方法→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120909
所得税の計算手順→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120917
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