0412 転職のスキル、準備編9 3つの選択

仕事としての自己実現を大きく分けると3つあります。
一つは、できるだけ自己の希望に近い会社に転職する。もう一つは自分で開業すること。つまりショップや飲食店の開業です。最後は起業で、自分で事業を起こし実業家となる3つの選択です。ここでは「開業」「起業」プランはテキストの目的ではないので割愛します。

さて、転職にも次に移る企業を選定するとき、個人的に重視する部分があるはずです。その傾向も大きくは「ステップアップ型」「自己満足型」「条件重視型」の3つに分類されます。

A : <ステップアップ型>
現在の仕事、キャリアを活かし、その分野での専門性をより高めてゆくこと、より高い地位を築くことを目的としています。これはキャリア・プランと密接な関係があります。では、小売業を例に上げて説明してゆきましょう。
小売業で販売を担当している場合、将来のステップアップを考えると幾つかの道筋が浮かんできます。このまま販売職として順当に行けば、社内の昇進、例えば「売場責任者」や副店長、店長、エリア責任者などの、より管理的能力を問われる管理職へのプランが王道して選択肢の中にあります。また、同業種としても現在より規模の大きい企業に移り、そこで実力をつけて将来を考えてゆく、と言うのも一つです。
小売業を「流通業」とみなしたとき、販売職のみに留まらず、物流での職種、あるいは販売や物流等を統合、合理化するシステムの職種、流通業は販売物の種類においても多岐に渡り、販売手法も物流システムも異なってきます。つまり、流通業の中で職種を変えてゆき、将来にはコンサルティングや販売に関するアドバイザー、情報処理を勉強すれば販売、物流システムの道も開け、より専門性の高い職業も視野に入ってきます。
また、販売そのものを重視して将来のプランを考えると、より高級であるとか高価な物品の販売、セールス等の販売職専門のキャリアも拓けます。 
ステップアップのキャリアは現在の仕事内容や職種が基になります。そこから自分自身が興味のある、魅力を感じる方向に進んでゆきます。
 

B : <自己満足型>
これは現在の業種、職種とは無関係に転職先を考えます。自分自身が一番好きな事や、将来を長期的に考えると、こういった職業に就きたい!などの希望を優先してキャリアを構築してゆきます。
ただし、自己満足型のキャリア・プランはステップアップ型に比べてリスクが伴います。
まず一つは、過去の経験等を生かせない分、希望する企業に採用されるのが困難であることが予測されます。また、年齢がいくほど過去の職業を無視する職種に変わることも非常に困難です。
過去の職業的経験、つまり「経験の継続」が採用で最も重視されますが、この転職ではそれがアピールできません。従って、その希望する職業について勉強や、資格を取得するなどの何かアピールできる部分を作ることが必要です。
もう一つは、再就職ができた場合も経済的に前職よりも減少したり、期待していた仕事内容や人間関係が大きく異なり、結局のところ長続きしない場合も多くの事例があります。
この自己満足型の転職は、うまくいけば自分のやりたい職業なので毎日がハッピーとなるわけですが、その分リスクも高いと言えます。ですので、その職業がどういったものか充分に調べて検討し、その職種に対して強い憧れや、何が起こっても後悔しない覚悟も必要です。

C : <条件重視型>
条件重視型は現在の職業的な不満や、他の業種への転換ではなくて、勤めている会社の賃金や休日等の労働条件や職場の環境等を変えることが目的です。
上場企業といえどもサービス残業名ばかり管理職の問題がありますから、大きな会社であっても実際の現場は、どのような扱いであるのかを知ることは困難かもしれません。 
女性の場合は、残業や職種によっては夜勤、それから将来を考えると産前産後休暇や育児休暇の制度が充実しているかどうかも問題点として挙げられます。
この条件重視型への転職は、転職先が大企業もしくは中規模の企業でも優良企業が殆どです。従って、募集要項のレベルの高さ、募集時の競争率も高いことが予測されるため、かなりの激戦となる可能性が高いと言えます。
条件重視は個人的な設定なので、何も労働条件のみを比較するものではありません。現在が販売という職種で、接客が日常的な業務である方が、接客がどうも苦手で、できれば事務職や工場等の作業系の職種を希望する場合も、個人的な条件に該当するので条件重視型と言えます。自己満足型と混同しそうですが、積極希望と消極希望の差で、単なる条件として分類するのか、その職業に就くという意志であるのか、と言うことです。
 
紹介した上記A、B、Cは要約してその傾向を分類していますが、AとC、BとCと言う感じで重複した転職先の選定も可能です。
転職先が、個人の目的にそって選定されている場合も、今から探し選定してゆく場合も、現在も在職中である方も、転職先を決める前に「なぜ前職をやめたのか?」「なぜ現職業を辞めようとしているのか?」その辞めた、辞めたいという動機を徹底的に自己認識する必要があります。

人が生活する源が「仕事」です。誰もが仕事をして収入を得て生活しています。従って、人生の一番多く時間を費やすことも仕事になります。そのため、できるだけ自分のやりたい職業に就く、やりがいを感じる仕事する、充実した日々を送る。を、考えると転職することも理解できます。前向きに仕事を捉え、現状より多くのものを得るのです。
しかし、逆に考えると「生活の糧である仕事を辞めたい」とは、かなりのリスクのある行為です。仕事が見つからず経済的に困窮する者や、うつ病などの精神障害に陥る者、精神面の不調から身体的な病気を発症する者、健康を損なうことについては細心の注意が必要です。

上記ABC、いずれにしても、現状より転職によって「必ず良くなる」と信じている方は、そのモチベーションさえ切らさずに活動すれば結果を恐れることはないでしょう。しかし、単純に「現状より、よくなりたい」と考え、転職するのであれば、現状の仕事を「辞める」動機を確認し、自分で良く知ることが大切です。

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