0442 転職のスキル、準備編39 革新的な能力

革新的な能力（属する組織と、それに関係する組織や事業など広範囲を想定）

（82）イニシアティブ。
「イニシアティブを取る」とは、対人スキルでは「先取りしようと行動する」で「率先」といえます。事業規模では「主導権」のことで、主導権を取るこができれば、他より優位に立つことでき、結果的には利益コントロールの可能性を高めることができます。しかし、イニシアティブを取ることは容易ではありません。緻密な計画、シミュレーションによって課題の洗出し、問題を予見することが必要です。それに伴う適材適所の人選、関係担当者への根回し、情報収集と分析による改善など、そしてこれらのスピード。他者が簡単に追随できない程の先行、関係するマーケットを牽引するなど、その効果を期待して取組みます。

（83）幅広い知識、視点を養う。
これは普段から新聞、雑誌、書籍、インターネット等を利用して、自己や所属している部署、あるいは企業に関係する情報を、いかに興味を持って接しているのか、という姿勢が問われます。文化的なジャンルを礎とした教養も同じです。どのような知識にしても幅と奥行あり、薄く広くも重要で、職業に直結する内容では専門性も問われます。必須としては「法律」「会計」「意思決定」の基礎経営学、「ITにおける新技術」「業界情報」、それとこれらの知識を有効にするコミュニケーションスキルです。毎日が勉強です。

（84）多様性の尊重
社内で一定の地位にあると、その管理する範囲や場合によっては異なる職種も対象となります。地理的にも国内の広範囲、海外出張や赴任もあるでしょう。個人の性格や能力の差異、組織の体質、体制の違いはもちろん、海外では人種、言葉、文化、食事、慣習、宗教、法律、政治、教育、インフラなど、全てが異なり、尊重、受入れ、その上で交渉や指揮を行い、目的の達成、成功へと貢献します。これらのことは知識があることも予防に役立ちますが、現地、現場で実際に体験しながら適応するしかありません。実務の中でも経験、チャレンジ精神が求められます。その上で自己の能力を相手に認めさせ、主張や指導へと実行するわけですから多岐に渡る能力が必要とされます。

（85）戦略的思考、視点を持っている。
会社全体、事業全体を見通し、関連する企業、ライバル企業、業界の動向、外部環境のリスク、様々なことに精通する必要があります。戦略的思考を持つことは昔で言う「軍師（strategist）」に当たり、戦い方の範囲、方法、予算、人選、期限、ゴールを緻密に設定することです。戦略の範囲では、トップに「経営計画」があり次に各事業部に降りてゆきます。製造業と流通業では異なる部門が存在しますが、財務、投資、リストラ等の財務戦略、持株会社設立、企業買収、事業統合、株式分割などIR（investment relationshipもしくはinvestor relationsで投資家向けの財務情報）戦略、新製品開発、プロダクト、製造ライン等の製品計画、その製品販売予測にはマーケティング戦略、ロジスティクス、出店などの物流、流通戦略、プロモーション、メディア、イベントなどの広告戦略、リーダーシップの育成、専門技術の伝達や能力開発等の教育計画、そしてこれらの情報の共有化、制度設計、対象となる顧客管理、販売方法、情報収集、データ分析等、そして展開のスピードを支えるものとしてIT戦略が必要です。これらの範囲と方法については多岐に渡り、様々な知識や能力、そのクオリティが要求されます。また、各計画を実行、連携、共有するにあたってはリーダーシップ、ビジョン、多様性、人脈の他、計画を完遂するまでに代替えプラン作成や、変更における柔軟性も必要とされます。

（86）リスクを恐れず、的確な意思決定ができる。
さて、前述した経営戦略や事業計画を実施するにあたっては様々なリスクが予測されます。リスクはどのような種類のリスクであるのか、またそのリスクはどの程度の規模であるのか、そしてそのリスクはどの段階で発生するのか、またリスクの性質によって対処の方法も変わってきます。例えば、人的ミスや緻密な制度設計によって殆どなくせるリスクなのか、保険によって軽減できるリスクであるのか、あるいは発生した後でないと対処できないリスクであるのか。　

リスクの洗出しは、現在ではシミュレーションによって可能ですが、その発生を予測する精度については、結局のところ知識と経験が重要になります。リスクは戦略や計画のみならず、何かを始めるとき必ず予見できる、しなくてはならいものですが、このリスクによって計画等の要となる、立案者あるいは遂行する指導者の意思決定が萎縮することを避けなくてはなりません。もちろん甚大な損失が出るリスクを無視して強行することも許されません。この萎縮とは、事業計画そのものが見送りとなったり、規模が小さくなることによって、本来予定していた成果と掛け離れたものとなった場合です。様々な計画を完遂するには、リスクに対する代替え案も重要な構成要素で、結果を重視する、やり遂げる力を持つリーダーが必要となってきます。

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