0020 驚き、共感、質問の相槌を打て!

相槌は会話上、潤滑油の役割となりますから、たいへん重要な役目を担っています。

会話が弾むということは、お喋りの「ノリ」なわけで、お喋りは話し相手の刺激によって反応し、活性されてゆくわけです。この相槌が、まったく気のない返事だったり、どうでも好い様な表情をすれば、相手のお喋りは、次第にテンションが下がり、不満足なかたちで会話が途切れてしまうでしょう。
これは先に解説した「はい」は避けろと同じ効果もありますが、「よく聞いてるよ」と知らせる以上の「興味を持ってるよ」と、好奇心や期待を相手に返し、それによって、より会話や関係を充実したものに導く、ちょっとしたアイテムと考えて下さい。

「驚き」はあまり大袈裟にならない、わざとらしくならないのがポイントです(本当に驚いた場合は別として)。控え目で、呟くような驚きでも、潤滑油として充分な効果があります。具体的には「えっ、」とか「えっ、それで・・・」や「そうなの!」類。それから、繰り返しのあと語尾を上げるアクセントで、感嘆の類。例えば「昨日、クルマで鹿児島から帰ってきて・・・」、「クルマで!」とか。

それと「驚き」には「誉める」という効用があります。例えば、部下に仕事を頼んで、直ぐに完了を報告したとき「もうやり終えたのか、仕事が早いねぇ」と言わず「おっ、早いね!」と、ちょっとした驚きでも「誉める」と同等の効果があります。誉め言葉が省略された形になっています。

「共感」は相手の話している内容や、立場、感想に対して、肯定的に受け止めていることを知らせる、同意や調子合わせです。しかし、同情まではいきません。それから言葉を、否定形ではなく、なるべく肯定形を使うように心がけた方がベストです。例えば
相手:「最近、インターネットでの買い物、増えてきたなぁ」
私 :「便利なので、どうしても増えますよねぇ。私もそうです。」
相手:「TVでこの間、三年間、全ての生活用品をネットでしか買わない、という主婦を紹介していたよ。食べ物も全部だよ。」
私 :「えー、そんな人いないでしょう?」
相手:「いや、確かに、そう紹介していたと思う。」

共感は要するに、相手の言葉に対して「イエス」の刺激を返すわけです。
肯定形の言葉使いに関しては、私の台詞の中で「そんな人はいないでしょう?」と否定形を使った箇所があります。肯定なら「えー、そんな人がいるのですか?」となり、会話の流れでは、たいしたニュアンスの差はありませんが、否定形の言葉使いは立場や場面によって相応しくない場合があります。肯定形ならどのような場合でも、誤解される心配は、まず起こらないので、日頃から、肯定形を使うクセをつけていた方が、無難と言えます。

接客業の言葉使いでは、お客様に対して「否定形の言葉禁止」という教育を受けます。例えば、パン屋でお客さんが「サンドイッチはない?」と尋ねてこられた時、「申し訳ございません。本日、菓子パンのみの販売となっております。」など、できるだけ肯定的な言い回しをします。これだけでも従業員に関する、教育の程度が見て取れます。

「質問」は疑問を投げかける、ということですが、ここでは相槌の中での質問、つまり相手の話しをより開かせることが目的の質問となります。ですから「誰が?」「いつ?」「どこで?」「どうやって?」「それから?」等の話しの接続効果があるもの、あるいは「以前はどうだった?」「他の者はどうやってる?」とか「もし、その時それを知ってれば?」等の比較やifで、話しの背景、奥行きを広げてゆく質問。

あとは話しの中の登場人物に興味を持つ質問「どこで知り合った人?」や相手の感想を尋ねる質問「その時、どんな気がした?」など。

一度、意識しながら質問をしてみてください!