0019 返事をするとき「はい」は避けろ!

上司との会話、電話での応対、あるいは接客や取引先などの相手には、どうしても普段より畏まってしまいます。親しさの距離感もあるでしょう。どのような立場や状況でも「はい」という返事を禁止せよ、と言ってるのではありません。
 
友人や本当に仲の良い間柄の相手とお喋りをしているときは、逆に「はい」という言葉をあまり使わずに会話をしていることに気づいているでしょうか?

「はい」と応えることは一見、肯定的、従順で、内容を理解した上で了解し、後に協力的である印象さえあります。
しかし実際には話した内容の意味が殆ど理解していなくても、人は平気で「はい」と返事をするし、一回「はい」と言ってしまうと、簡単に何度も「はい」を連発します。そして伝えたはずの意味は半分も理解されてないことさえ、よくあります。
 
「はい」という相槌は便利な分、使い捨ての感があります。一応言っとけ、ってな感じで、相手の印象もそこそこ、距離感も付かず離れずで、これがクセものなのです。
会話の流れを意識して話せば気がつくのですが、「はい」という返事は会話の流れを少しづつ止めてしまいます。

 もう少し具体的にみてみましょう。
 例題:
 面接官・「明日の集合時刻は午前8時。」
  男 ・「はい、わかりました。」
 面接官・「場所は梅田、紀伊国屋前。」
  男 ・「はい。」
 面接官・「印鑑を忘れずに持ってきて下さい。」
  男 ・「はい、それでは失礼します。」
 私が面接官ならこの男性は失格です。コミュニケーションスキルは低いと感じるでしょう。
「話をよく聞く」というのは、「自分はしっかり聞いているぞ」ということを相手に知らせなくてはなりません。つまり、相手が「この人は私の話をちゃんと聞いてるな」と感じなければダメなわけです。
 面接官・「明日の集合時刻は午前8時。」
  男 ・「午前8時ですね。」
 面接官・「場所は梅田、紀伊国屋前。」
  男 ・「梅田の紀伊国屋は広いですね、他に目印になるようなものはありますか?」
 面接官・「ビッグバンの前に私が立っています。それから印鑑も持ってきて下さい。」
  男 ・「他に必要な物はありませんか?・・・・」 

上記の男性の会話が面接上、「正解」といっているわけではありません。より「正確」に感じさせるのです。

「はい」を使わない返答テクニックは、相手が言ったことに対して、「一部を繰り返す」、「簡単な質問をする」の他、「言い換える」、「付け足す」のだいたい四つです。

現実に「はい」を避けることによって二つの利点が生じます。
一つは、本当に相手の話を「しっかり聞く」ということ。適当の聞いていると、うっかり「はい」とか「はぁ」、「そうですか」が出ますし、言ってることに対して、繰り返したり、質問したり、ができなくなります。つまり、前もって「はい」を避ける会話を意識して臨めば、「聞く」姿勢に自然となります。これが本人にとっても、相手にとっても、良いことなのです。
 
もう一つは、例えば仕事や、連絡で、同じことを何度も別の人に伝えなければならない時、面倒くさくなって、連絡内容の細部を省略してしまうことが度々おこります。このような場合は、質問することによって、より詳細な部分まで聞き出すことができます。

相手の情報が、必要最低限のことを伝えているかどうかは、その場では良く分からないものです。後になって、不十分な情報であることに気付いたりします。面接官の例の場合、意図的であったにせよ、集合場所が「紀伊国屋」だけで、目的を成すことは情報不足で、意識が低いと、このことでさえ気付かないものなのです。
 
もちろん、どのような状況でも「はい」は不要と述べているのではありません。はい、と返さないと怒り出す上司もいるかもしれません。
しかし、自分は「あなたの話しをよく聞いてますよ」と相手に知らせる言葉として、「はい」では全く不十分だと考えています。
 
まだ、お試しでない方は今からどうぞ「はい」を減らして。