0280 ていレベル読書5 「レイコ@チョート校」

番組は憶えていませんが、先日TVを観ていると小学生で、英検2級か英検順1級に合格し、他にもたくさんの資格試験に合格し、携帯電話に詳しくその道の雑誌で、ライターとして稼いでいる中学生が紹介されていました。

それを見ていて思い出したのですが、以前に読んだ本で、小学6年生で英検1級を取得し、アメリカ屈指の名門高校に入学し、その学生生活を書いたものが「レイコ@チョート校」なのでした。

久しぶりに、本棚からこの本を手に取ると初版は2001年11月になっていますから、私がこれを読んだのも10年以上前ということで、時の早さに驚き、いや早すぎて怖い気がしてきます。

英検1級はかなりの難易度で、高校教師の方でも簡単には受かりません。それを小学6年生で合格しているのですから、普通の人が中学生になって本格的に英語の学習が始める頃、彼女は既に日本での英語勉強は完了していたわけです。私も普通に中学生になってから英語に取組ましたが、なぜか英語を耳にすると眠たくなっちゃいます。
このチョート校は、アメリカ合衆国でベスト3に入る名門中の名門で、アメリカの様々な州からはもちろん、世界中の国から優秀な生徒が集まってきます。

私は公立高校の普通科、学力レベルも並の並で、この本で読んでチョート校の学業内容を知ったときは「驚き」「驚き」「驚き」の連続で、簡単に言うと私の高校時代の生活とは、そもそも比較になりませんでした。

アメリカは高校までが義務教育となるので、通常では高校入試というものがないそうですが、こういった進学校に入学するとなると何もないわけがありません。日本であれば入学志願者には一律同じ試験や面接で合否となりますが、この「超」がつく名門ではそれほど単純ではありません。
そもそも学業が「優秀」であることは前提で、その優秀さを自分自身で証明しなくてはなりません。つまり審査されるのです。

まず課題としてはエッセイの提出で、そのエッセイも「学校内外の活動」と小論文、制限のない論文の3部構成で、この他には「親のエッセイ」「TOEFLの成績(母国の方は試験)「学校の成績証明書」「英語教師の推薦状」「数学教師の推薦状」「学校以外での活動に関する推薦状」「両親の財政状態を証明するもの」。これらを全て提出して審査されます。

私が仮に小学生で英検1級を取っていても、この手続きと審査に挑戦するのであれば、喜んで1級を返上します。
この入試審査を考えると、この学校の授業内容がどのようなレベルであるのか?このあたりが本書の読み応えがあるパンチの効いた内容です。やっぱりエリートはたいへんです。脱帽。

ちなみに世界史期末試験の代わりに行われたことが「パリ講話会議(第一次世界大戦終結ベルサイユ条約)」について、生徒たちがグループに分かれ、パリ講和会議に参加した各国の代表を演じ、ベルサイユ条約の締結条件を交渉により獲得します。ただし締結以前の史実は変更しない。もちろん交渉は全て英語で、グループに分かれた学生たちは様々な国籍の集団です。私の高校時代の授業を思い出すと信じ難い授業内容です。当時、こんなことを先生が「やるぞ!」と言ったら誰もがジョークとして聞き流します。

以前の感想「外資系の流儀」でも書きましたが、私からすればあまりにも現実離れしたエリートなので、これは正しく「宇宙人」です。

この本を読んだ当時はかなりインパクトで、忘れられない内容でしたが、その後、著者である岡崎玲子さんの出版物に関してはノーチェックでした。チョート校での学生生活は一般の日本人からすれば異質で興味深い学生生活の体験談でした。私はなぜか、彼女は高校生で作家やジャーナリストではないのだから、以降の刊行はないだろう、そう勝手に思い込んでいました。いや、なんのなんの、たくさん出版されていました。すみません。

著作のリストを見てみると9・11のことやノーム・チョムスキーへのインタヴューなど、内容が濃い感じです。

考えてみると、この9・11の事件は「レイコ@チョート校」が発売される直前ということになります。まずは、この本から読んでみよう!