0279 所得税83 譲渡所得13 用益物権

さて、譲渡所得について調べていると、土地や建物に関しての権利や法律的な用語が多く出てきます。ここで少し、これらの法律的用語を勉強しておきましょう。
不動産とは「土地およびその定着物」が不動産とされています。

定着物とは主として建物ですが、建物では「社会通念上の建築物」とされていますので居宅や店舗、ビルや施設はもちろん、工場や倉庫等も含まれます。また、建物の付属設備とは、その建物が使用目的に応じた役目果たすために設けられた機械等で、冷暖房などの空調設備や照明、昇降機など様々な設備が挙げられます。

定着物の副としては「構築物」で、これは門や塀、庭園、小池、橋などの工作物を指します。

土地の上に有する権利では、主に借地権と用益物権(地上権、地役権、永小作権など)で、借家法は土地ではなく建物の賃借権に該当します。
それから不動産の担保物権としては「先取特権」「抵当権」「質権」「留置権」などがあります。
尚、税法上では土地と土地上の権利を「土地等」と表し、建物と附属設備と構築物を一括りとして「建物等」で、この二つを合わせた範囲が「土地建物等」となります。

(1)用益物権
民法上で物権(物を支配する権利)とされ、他人の土地を使用することができる権利です。用益物権は、物権であるため譲渡、相続が可能で、また時効によっても取得、消滅がおこります。これらの権利効力、第三者への法的な対抗には登記が必要です。
この用益物権の登記は乙区の所有権以外の権利項目として記録されます。所有権はその土地そのものを「所有」するので、全ての権利を有しますが、用益物権では、その所有する他人の土地を使用する権利として独立しているため、地上権等の登記を許可した場合は所有者に断りなく譲渡や相続が可能とされています。従って、これらの権利の許可には十分な注意が必要です。
用益物権には以下のようなものがあります。

イ):地上権(民法265〜269条)
「地上権者は、他人の土地において工作物または竹林を所有するため、その土地を使用する権利を有する。」
この場合の工作物とは前述した「建物等」にあたり、トンネルやガスタンク、地下や空中も含めた一切の工作物です。竹林は、言わば植木などで、収穫が可能な作物や牧畜は該当しません。地上権は、土地の使用を賃借によって得た権利とは意味を画し、地上権は物権ですが賃借権の場合は債権なので、その権利範囲や効力が異なり、物権は債権と比べてより強固な権利を有します。

ロ):地役権(民法280条〜294条)
「地役権者は、設定行為で定められた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、所有権の限界の規定に違反しないものでなければならない。」
これは、通行や引き水、送電などの自己の土地の便益のために、他人の土地を利用する権利です。便益を受ける土地を「要役地」と言い、利用される側の土地を「承役地」と言います。
承役地は要役地のために必要とされる土地であるため、地役権の土地利用の目的は要役地のためで、承役地が単独で存在することはありません。従って、これら二つの関係を分離して譲渡したり、他の目的に使用することはできません。
地役権もまた、地上権と同じく取得は設定契約によるもので、譲渡、相続、遺言、時効により取得する場合もあります。地役権の時効は20年間権利を行使しなかった場合は消滅します。

ハ):永小作権(民法270条〜279条)
「永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。」
永小作権も設定契約による取得で、地上権と似ていますが、目的が耕作と牧畜に限定されています。加えて、小作料の支払義務を負います。契約設定時の期限については20年以上50年以下とされ、仮に51年以上の期間を設定しても法的効力は50年とされています。

※ 民法の条文と判例http://civillaw.yu-nagi.com/minpo8.html
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