0025 それは他人の頭の中にあります。

例えばテレビのCMで赤ちゃんのシーンがあると、安心や安全度、女性からの支持がその企業に対してイメージアップとして得られるそうです。
 
ある企業からみて「企業外」に接する関係者といえば、それは多くの場合「消費者」と「ステークホルダー」とになるでしょう。

企業は消費者に対し、広告やテレビCMなどでイメージや技術力、社会的貢献度をアピールし、利益獲得やブランド力向上に努め、また利害関係者には決算書(有価証券報告)で、企業の能力や価値を毎年報せて資金調達を有利に、あるいは様々なリスクをより安定的に改善できるように励んでいます。
 
数年前大企業のカネボウ粉飾決算を起こした事件がありました。確かに経営難が続いていましたが、それでも化粧品のCMでは好感度は高く、商品の技術力も高い、業界ではトップクラスの実績があった企業です。

粉飾決算が明るみ出る前と出た後の企業イメージは消費者や関係者にとってかなり落差がでたと思います。しかし、これは企業外からの視線であって、カネボウが持つ能力や企業文化、積み上げてきた実績には何の劣化もありません。

ただし不正や悪意は倫理観の欠如です。他者が認識してなくても、肯定できるものではありません。

例えば、仲の良い夫婦がいて、夫はいつも妻に対して思いやりがあり、時間があれば家庭内の手伝いをし、会社でも「できる上司」と認められていた、としましょう。ある日、その夫の浮気が発覚します。すると忽ち妻からは信頼を失い、会社ではあることないこと噂され、立場は次第に崩れてゆきます。
 
このような場合でも、その夫は浮気の発覚以前も以後も、彼が持つ今までに蓄積された様々な能力は何ら変化をしていません。変化したのは他者である「自分外」の人達の視線です。つまり「人格」は自分自身で形成したにも関わらず、どこに存在するのか?となれば「相手の頭の中」ということになります。これがコミュニケーションの一番難しいところであり、最大のリスクであるといえます。