0056 そんな価値観いらない!(ディ −6)

この「自分の棚卸し」を作成するにあったて、この機会に改めて自分の価値観を確認してゆくのはどうでしょうか。
これからの時代を乗り切ることで、一番大事なことは、それは「価値観の変革」だと思っています。このことは私に限らず多くの人がそういう発言をしていますし、言わば平凡な意見に過ぎない当然のことかもしれません。
企業経営者の出版物を読んでいても強者が生き残るのではなく、環境(時代)に適応した者が生き残るのだ、とダーウィンの進化論と同様の意味で例えている話を眼にします。しかし、どのように価値観を変革するのか、変革以前にどのような価値観を自分が持っているのか、まずそこを認識しなければなりません。

どうしてアイツは成功して、自分は成功しないのか。どうしてアイツは人脈が次々できて、自分にはできないのか。そもそも自分は仕事に対して、どういった価値を求めているのか。
かつて「時の流れがすべてを解決してくれる」という言葉がありました。どのような解決となったにせよ、言葉自体は正しい。構造主義をかりるなら、それは「時間」そのものではなく、実際には人々の認識や概念、価値観が時間を経て変わるので、よりよい解決が見出せるのです。

例えば、以前は野球ばかり観ていたが、今は野球よりサッカーだ。最近は「・・・・にハマっている」なんて表現をしますが、これらも価値の変革といえます。コミュニケーション上では、「価値観」は無意識であるにせよ支配的な役割を果たす個々のフィールターといえます。ですから前提であり、尊重して扱わなければトラブルの種となります。これは相手とのコミュニケーションにおいてだけではありません。自分に対してもそうです。自分には形成された価値観のフィルターがあり、尊重しなければ、他人のフィルターには尚更、興味もなく否定的になるでしょう。自己の価値観を変革するのであれば、このフィルターを時には掃除して、時には新しい物に交換して、そういう作業が必要といえます。
 
 個人的には、転職や再就職に一番必要な作業をいうならこの「価値観の変革」だと考えています。そして、その作業に不可欠なのが「自分の棚卸し」を作成すること、これが最も適切な作業だとも思っています。


30代、40代になって転職の話を相談すると相手の多くは必ずこういうことを言います。「今さら再就職なんて、できっこない。あってもろくな仕事はない」そんなことを相談相手に言われたことないですか?そのとき、あなたは「そりゃ、そうだ」と納得しましたか?再就職なんてできない、それは相手の価値観フィルターであって、その価値観に同意する必要はありません。不安な状態であるとき、相手のありきたりな言葉に左右されることもありますが、逆に世の中には不利な状況でも希望を勝ち取った人はたくさんいます。第一、次の仕事が確定されないまま、現仕事を辞めれば、先行き不安に感じる者は全員です。つまり、いつの間にか不要な価値観を受け入れて、元来あった価値観は隅っこに追いやられているのです。


転職はいかなる理由であろうと、その人にとって必要があるからこそ、大きなリスクを背負ってチャレンジするのです。不必要な価値観は受け付けない技も大事なことです。