0059 キャリアデザイン!(ディ −9)

キャリアデザインという言葉を知っている方も多いと思いますが、「キャリア」という響きに「自分には縁がない」と勘違いされる人もいるようです。
最近では、大型書店にいくと専用のコーナーを設けているほど、関連する本は年々増えていっているのではないでしょうか。また、地域によれば、このキャリアデザインという概念や教育を小学、中学生の特別授業で講義するような話も耳にします。
 

 「キャリア」といえば、なんだかエリートの出世話のイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。誰もが人生に必要なことで、キャリア教育、キャリアデザインは「自分の仕事人生をどう展開してゆくか」という問題に向き合ってゆく勉強です。
 
私たち、ほとんどの人は小、中、高校時代を基礎学力として、国語、社会、数学、理科などを勉強し、大学になってから、その分野の専門的な学問を勉強してゆきます。微分積分を苦労して理解しても、当時は「こんなこと将来いつ役に立つのか?」という疑問ばかりで、設計や実験、統計学、金融等の仕事の分野で必ず使う時がくる、そう教えられても、その仕事、その分野に興味はてんで湧いてきませんでした。
 
考えてみると、このキャリアデザインという教育はたいへん重要な意味があります。それは資本主義であるなら、生きていくということは、何かしら仕事をして収入を得ることで成立しています。ですから人生と仕事は特殊な例外を除いて、ほとんどの人が必ず経験する問題といえます。
 
それからもっと早くから教育すべきです。教育方法までの定義づけはしませんが、どのような業種があり、どのような職種があり、多くの仕事の魅力を識らせるべきだと思います。子どもや学生が、自分の将来を悲観したり、あるいは幼稚であったりするのが本当であるならば、たくさんの仕事があって、選択して、楽しく生活できるということを教えることは急務といえます。
 
このキャリアデザインが「自分の仕事をどう展開しいくか」であるなら、なかなか計画的に行かないことも、事実としてあります。ある雑誌のアンケートによれば、自分のキャリア計画を修正した者は約9割に達すると書いてありました。
ほとんどの人は、自分の仕事経歴を軌道修正しながら構築してゆき、大雑把な言い方をすれば、思い通りに行く者は僅か一握りの人で、残りの多くの人たちは行き当たりばったりで、決断せざるを得ない場合に直面し、修正して新たに経験を積んでゆくのです。
 

 修正して展開してゆく、これが現実的なデザインであるのかも知れません。
その会社で一生続けてゆく、そこには個々の会社で「出世コース」という道のりがあります。これを順当に進んでゆくことも簡単なことではありません。しかし、ここでいうキャリアデザインの主体は会社ではなく、自分自身であること、自分が判断し、選択してゆく、そういった積極性を指します。