0066 自信もってる?(ディ −16)

基礎力の他には「処理力」「思考力」があり、「動機」「態度」も重要な役割を担います。
 処理力、思考力はIQにあたる能力で、処理力には言語的処理力と数量的処理力があり、思考力には論理的思考力と創造的思考力があります。
動機は、なぜその仕事を選ぶのか、またはその仕事をするのか、という問いに対して、目的や目標が明確である程、強い意志や継続性に影響を与えます。

それから態度は、その仕事を取り組む姿勢ですから、「やる気」や「楽しさ」といえるもので、様々な能力を発揮する源といえます。
 

 これらは総じてモチベーションと呼ばれているもので、仕事に限らず、どのような目的であれ、このモチベーションの高さによって吸収や効率、思考や創造など、あらゆる能力とその結果に多大な影響を与える重大な鍵を握っている、能力を発揮するための能力でもあります。
 やる気を高める、持続、維持する。目標を設定し、達成する。このモチベーションをコントロール、維持するためには、行動し、他人と触れあい、あるいは何らかの方法で刺激を得、これらを繰り返し行い、そうして自分に対してコミュニケーションを行わなければならない。この誰もがめげそうになるプロセスを支えるものが「自信」です。

自分は「できる」という自信。

 さて、何事にも自信は大切な役割果たす、一つの能力といえます。
しかし、実際に自信を持ち、それを維持することはそう簡単ではありません。長期的に考えれば、自信を強化してゆくより、むしろ失ってゆくことの方が多いのではないでしょうか?

考えてみれば、この「自信」という力はどこから湧いて出てくるのでしょう。
その道の経験を積み、試行錯誤を行い、失敗と成功を繰り返して、ようやく広さや深さを認識し、自分の知識と技術の高さを確信してゆく、なんと時間を要する作業であるのか。

 TVニュースを見ていると、大企業のトップ交代で、新しく就任した社長は今後の会社の方針や収益方法など様々なことを、自信を持って語ります。もちろん上場会社のトップが自信なさそうな素振りで会見を行うはずがありません。けれども、自信たっぷりな発言ですが、内容はこれから起こることを述べています。つまり、これから経験することを自信たっぷりと喋っているのです。企業内で順当に昇ってきた新任社長ならともかく、別の業界、あるいは別の職業である人物を引っ張ってきて、新たに社長となったケースも多々あり、そういう方にしても自信を持って会見に挑みます。まだ一度も経験したことがないにも関わらず。
 

 信頼や実績を作れば、必然的にそれは自信となって表れます。しかし、また次の少し高いレベルへと移れば、その自信は失う可能性が出てきます。同じことを何度も繰り返し行えば、その作業における自信強化され、意識なくしても簡単に実行することができます。次の段階、「似てはいるが新しいこと」へステージアップすると自信を失うリスク、失敗すれば他者からの信頼は損なわれ、新しい実績は評価されない、そういったリスク。

「自信を持つ」というのは個人的、つまり自己の心理にあります。子どもにサッカーボールで簡単なリフティングを見せて「できる?」と挑発すると、子どもは「そんなの簡単!」と言って、やったこともないのに自信満々でチャレンジします。無論、できはしないのですが。

大人になると自信を持つことに根拠となる経験が必要だと思っているかも知れませんが、そうではありません。