0067 チャレンジ!(ディ ー17)

私たちは、よく「自信をつける」という表現をしますが、この場合の「つける」は「強化する」と同義語に捉えた方が良いでしょう。なぜなら、そもそも自信はあるもの、心が健康な状態であれば、自信は既に、そして常に「ある」、「持っている」ものなのです。
 
前回も書きましたが、子どもが大人のすることに「そんなの簡単!」と言って見よう見まねでチャレンジしてくる。これには「できる」という経験上の根拠はなく、「自分はできる」という気持ち、心の状態を示しているだけで、これが基本姿勢なのです。
 

 大人になり、様々な多くの経験をしてゆくにつれて「できない」と感じることが増えてゆきます。これは物事について、どれほど広く、どれほど奥深いもいのなのか、そしてどのような責任を課せられるのかを知っている、あるいは予測できるからです。加えて、その物事に対して、失敗の経験、成功していない体験があると、なおさら「できない」が増幅してゆきます。自分自身がそう勝手に判断して、チャレンジを拒む姿勢となるのです。
 
 子どもが言う「そんなの簡単!」に対して、大人は「最初から簡単にできるはずがない」と返します。子どもが気や心の状態を言っていることに対して、大人は知識や経験則から言う。つまり、自信なんかつけなくとも、そもそも「自信はある」という状態から始まり、様々な経験を踏んでゆくことによって「失ってゆく」ことになります。いろんな努力をして自信をつけてゆくことは、もっと正確に言うなら、それは自信を失わないように努力する、という意味で、極めて心理的な訓練といえます。
 

失敗したからといって自信を失うことはない。積み上げてきた能力が一度の失敗によって失うはずがない。もし、失うものがあるとすれば、他人からの信頼であり、評価そのものです。これはコミュニケーション上でいえば、相手(他人)が自分を見る価値観が変化したことになります。ですから自分の能力が低下することではなく、心理的要因が大きく、回復するためにも自信を維持することが大切なのです。自信があるということは、再度さまざまなことにチャレンジする心を持っていることを意味します。