0128 厚生年金3 標準報酬月額

この内容は2013年10月に改編しています。

厚生年金の「標準報酬月額」はサラリーマンの月収の高低を30段階に分けたものです。
サラリーマンでは毎月の給料から健康保険や年金などの社会保険料が天引きされています。

給与計算事務では給料から天引きできるものが決まっています。これを「法定控除」と言い、次のようなものがあります。
(1)健康保険料・・・・・・・・・・・健康保険法
(2)介護保険料・・・・・・・・・・・介護保険
(3)厚生年金保険料・・・・・・・・・厚生年金保険法
(4)雇用保険料・・・・・・・・・・・雇用保険法
(5)源泉徴収税額(所得税)・・・・・・所得税法
(6)住民税・・・・・・・・・・・・・地方税法

上記のうち(1)(2)(3)は同じ「標準報酬月額表」から計算されます。健康保険では47等級あり、介護保険は保険料率が健康保険料に1.55%加算されて算出されますが、「標準報酬月額等級表」は同じです。また、厚生年金では30等級にしか区分されていませんが、健康保険で設定されている標準報酬月額等級表の「等級5」にあたる部分が厚生年金では「等級1」に該当し、同様に「等級34」が厚生年金では「等級30」に該当します。
つまり、健康保険での等級5〜34は厚生年金で等級1〜30と同じ報酬月額となります。
厚生年金の標準報酬月額は98,000円から最高620,000円まで30等級に月の総収入によって段階的に区分されています。月給が101,000円未満の場合は、第1等級である98,000円の標準報酬月額で、605,000円以上で620,000円の標準報酬月額になり、それ以上はありません。
日本年金機構、厚生年金保険料額表(平成25年9月から)→
http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/0000012996BOVV9Rekkc.pdf

この月給に照らして確定する標準報酬月額は、毎月変動する給料をどのように決定づけているのか?については、以下のような方法があります。尚、給与計算では基本給だけではなく様々な手当、通勤手当を含んだ一般的な「総額」での給与が対象とされています。

<定時決定>
毎年、7月1日の現在の健康保険加入者において直近三ヶ月、4月5月6月の給与平均が反映され、標準報酬月額を決定します。確定した標準報酬月額は9月〜翌年8月まで適用されます。ただし、次に紹介する随時改定が行われた場合は、随時改定の等級が適用されます。
この決定には月17日以上の支払日数が必要で、満たない場合は計算から除外します。例えば、4月だけ出勤日数が15日で、その出勤した分だけの支払しかなかった場合には、4月を除外して、5月6月の平均が反映されます。
一般的には4月5月6月を対象としていますが、業種によっては異なる3ヶ月を選択できる場合があります。例えば、引越し屋さんなどは春先に繁忙期がありますから、この時期で計算すると結果的に保険料が高くなりますので、他業種と比較して平等な計算とは言えない場合が出てきます。

<随時改定>
これは定時決定のように対象になる月を定めることではなく、昇進などで昇給し、標準報酬月額等級表の2等級以上の金額差が出たときに変更するものです。
改定した月が1月〜6月の場合は、その年の8月まで適用となり、7月〜12月に改定した場合は翌年の8月まで適用されます。

<資格取得時決定>
これは新しく加入された人が、どのような計算によって標準報酬月額を決定づけるか?ですが、支払日数を加入した日から締切日で割り、30倍にして計算する方法、または同様の業務に従事し、同様の報酬を受けた者などの合理的な算出となり、それぞれ算出には規定があります。
決定された標準報酬月額は1月〜5月であったならその年の8月まで、6月〜12月では翌年の8月までが有効期限となります。

育児休業等終了時改定>
被保険者が3歳児未満の子の育児で休業し、職場復帰したとき給与が低下した場合など申出によって改定されます。
育児休業終了日に属する月から3ヶ月間の給与平均が、以前より1等級でも低ければ対象になります。
この場合、改定によって保険料の支払額が減っても、年金の反映については、改定前の標準報酬月額で計算されます。これは特例で、手続き上「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例届」の提出が必要となります。

サラリーマンでは月給のほかボーナスがありますが、この賞与に対しても納付義務が生じます。計算方法は1000円未満を切り捨て、その金額に保険料率を掛けて算出されます。これを標準賞与額と言い、そのつど適用されます。対象となる期間は4月1日〜翌年3月31日で、一度の支給に対し、最高150万円の上限設定がされています。もちろん年金の給付には反映されますから、多く取られるにしても、後で返ってくる仕組みとなっています。
健康保険では、賞与額は年度累計で540万円ですが、厚生年金の場合は支給1度について上限が150万円となっています。

日本年金機構、定時決定について→http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=1974
★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
★当ブログ0231免責事項をお読み下さい→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102