0142 老齢厚生年金3 特別支給2

現在の老齢厚生年金の支給は、前述していますが基礎年金部分と報酬比例部分(老齢厚生)の2つに分けて支給額が計算されます。特別支給でも同じ考え方で、基礎年金に当たる部分は「定額部分」となっているだけで、意味は変わりません。

特別支給(60歳からの支給)では、まず、この「定額部分」が段階的に引き上げられ、60歳以上65歳未満の定額部分が先に廃止されます。これが平成6年の改正で、次の平成12年の改正で、残された報酬比例部分も同様に引き上げられ、やがて廃止となり、ここで特別支給の役割は終え、本来の支給である65歳以上、基礎年金+報酬比例(老齢厚生年金)となります。

この段階的引き上げとは、支給対象になる年齢(生年月日)を指します。それから女性は男性に比べて、5年遅れで引き上げられてゆきます。
具体的には、特別支給における60歳での支給で、定額部分と報酬比例部分の2つとも受給できる者は、男性では昭和16年(1941年)4月1日以前生まれ、女性では昭和21年(1946年)4月1日以前生まれの者のみが該当します。そして次の段階では定額部分が61歳からの支給で報酬比例部分は60歳から。この支給に該当する者は、男性では昭和16年4月2日〜昭和18年4月1日まで、女性では昭和21年4月2日〜昭和23年4月1日まで。その次の段階では定額部分は62歳からの支給で、報酬比例部分はそのままで60歳からの支給。該当する者は・・・・・・・と続き、定額部分の65歳未満の支給がなくなると今度は報酬比例部分の同様の方法で段階的引き上げに移り、最終的には65歳未満の年金の支給はなくなり、特別支給の最後の段階である報酬比例部分の64歳での支給に該当する者は、男性では昭和34年4月2日〜昭和36年4月1日生まれまでで、女性では昭和39年4月2日〜昭和41年4月1日生まれの者となります。男性、女性もこれ以降に生まれた者は、特別支給の対象にはならず、つまり特別支給はこの時点で事実上廃止となります。

この特別支給は廃止となるまでに、生年月日の幅では約25年有り、実際に支給が終わるには約30年かかり、計算では2031年(平成43年)の3月で完了となります。そして女性で昭和41年4月2日以降生まれ方が65歳になる2031年4月から本来の通常支給の完全化となり、特別支給は制度から消滅します。
 
老齢厚生年金も国民年金同様、請求手続きが必要です。従って特別支給においても請求しなれば支給はありません。

それから特別支給は新制度移行に生じる、不利な立場の方を救済する目的であるため、通常の年金のように、繰下げ支給はできません。つまり、後からその分を上乗せして受給することができないので、請求して受給しなければ、その分は結果的に不支給となり、損となります。

老齢厚生年金において、特別支給の定額部分と報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げ区分については一覧があります。年金専門のホームページ等でご確認下さい!

日本年金機構、老齢厚生年金の特別支給について→http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3748

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