0145 老齢厚生年金6 支給額65歳以上

特別支給に該当する年齢は、男性で昭和36年4月1日生まれまで、女性で昭和41年4月1日生まれまでの方で、それ以後の生年月日の方は、本規定である65歳以上の老齢厚生年金の支給になります。

また、特別支給の受給権者の方であっても、65歳に到達すると、老齢厚生年金における特別支給の受給権は失権となり、代わって老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権が発生します。まあ、年金の名称は少し変わりますが、内容の殆どは変わりません。

特別支給の報酬比例部分は老齢厚生年金となり、支給額の算出条件、計算方法も同じです。(このブログ0143、前々回を参考にして下さい)

特別支給の定額部分は「基礎年金の支給」となるわけですが、基礎年金の支給額計算では、特別支給の定額部分より下回るケースが出てきます。それから、そもそも納付していた期間が、基礎年金支給額の計算対象外になっているケースも存在します。その不利を解消する役割で「経過的加算」と呼ばれる制度を設けています。

経過的加算の算式は省略しますが、ここで生じる受給者にとって不利益な差額は、65歳からの基礎年金ではなく老齢厚生年金(いわゆる報酬比例部分)に上乗せされ、支給されます。尚、不利が生じる場合は厚生年金に限られています。

この経過的加算が生じるのは、以下の場合が考えられます。
1, 老齢基礎年金の場合、65歳からの支給は、制度上の国民年金ができた、昭和36年4月以降が前提となっています。それ以前であっても公務員やサラリーマンは、共済年金や厚生年金に加入できたのですが、老齢基礎年金の支給額に反映されません。ですので、昭和36年3月以前の厚生年金と共済年金に加入されていた場合。
2, 国民年金(基礎年金)では20歳以上60歳未満が加入条件ですが、厚生年金や共済年金では、制度上において20歳未満であっても60歳以上であっても加入が可能です。しかし、この期間は老齢基礎年金の支給額に反映されません。ですので、厚生年金と共済年金の20歳未満、60歳以上で加入があった場合、経過的加算の対象となります。
3, 特別支給の定額部分において、昭和21年4月1日以前生まれの方は1676円×生年月日に応じた一定率を掛けて計算します。つまり単価が高くなる分が、老齢基礎年金の支給額には反映されず、その分の差額を経過的加算として上乗せされ、不利差額は解消されます。

上記の条件を考えると、65歳未満の特別支給で、支給額計算に反映されない部分が、65歳からの老齢厚生年金に加算され、特別支給の定額部分と老齢基礎年金の計算上の差額も、同じく老齢厚生年金に加算されます。
つまり経過的加算とは、制度移行に伴う、条件規定が原因で起こる支給額差異を、補填する役割と言えます。

日本年金機構、老齢年金について→http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3902

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