0146 老齢厚生年金7 繰上げ支給(全部)

「特別支給」は老齢厚生年金と退職共済年金にしかありません。

旧制度の老齢厚生年金では、60歳支給時に「定額部分」と「報酬比例部分」に分けて計算することになっていました。

新制度(現行の本規定)では、65歳支給時に「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」に分かれます。つまり、定額部分 → 老齢基礎年金、 報酬比例部分→老齢厚生年金と名称が変わり、内容の殆どは変わっていません。これは新制度へ移行する経過措置として「特別支給(当ブログ0141→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120523」を設けている、と理解できます。

老齢厚生年金の繰上げ支給は、一般的には定額部分にあたる、老齢基礎年金の繰上げを指します。{65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)の繰上げは単独でできず、必ず老齢基礎年金とセットでしか繰上げできません}

ここで問題となるのは、65歳未満で特別支給を受給し、さらに規定では65歳から支給となる老齢基礎年金を、前倒しで受給する。つまり、60歳〜65歳未満の間に、特別支給の定額部分と老齢基礎年金の繰上げ支給とが重なる場合が生じてきます。

特別支給の定額部分は段階的に引き上げられてゆきます(当ブログ0141、0142→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120525でも解説しています)。
男性では昭和16年4月2日以降〜昭和24年4月1日生まれの方、女性では昭和21年4月2日以降〜昭和29年4月1日生まれの方までが特別支給の定額部分が受給でき、それ以降の生まれの方は、定額部分の支給対象から外れます。

この時、繰上げ方法の選択として、「全部繰上げ」と「一部繰上げ」があります。

●全部繰上げ
当ブログ0138であった「老齢基礎年金の繰上げ支給」と考え方は同じです。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120515
繰上げ支給請求後に、実際に繰上げ支給が開始される月から、65歳に達する前月までの月数を、ひと月あたり0.5%の減額で計算されます。従って60歳〜65歳までの最大月数が60ヶ月になりますから、65歳支給時に比べて最大で30%の減額支給となります。
ここで注意が必要なことは、その減額された受給額は、生涯に渡って支給されます。本来の支給額に戻すことはできません。もう一つは、老齢基礎年金の繰上げ受給を請求すると、特別支給の定額部分が不支給となります(経過的加算分は除外されます)。従って、あまり有利な選択とはいえません。定額支給の受給権者である場合、ほとんどの場合が不利となります。
尚、加給年金額の受給資格がある場合、加算されます。(当ブログ0150→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120609

●一部繰上げ
全部繰上げに対して、一部繰上げの場合は、特別支給の定額部分においても繰上げされるため、調整はありますが、結果的にはこちらの方が有利な選択と言えます。
一部繰上げの詳しくは、次回・0147、老齢厚生年金8で!

日本年金機構、老齢年金4月2日以後生まれについて→http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3902

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102