0150 老齢厚生年金11 加給年金額

加給年金額とは、老齢厚生年金において「家族手当」のような制度です。

この加給年金を受給するには、一定の支給要件を満たす必要があります。また、支給要件の中には、加給年金の対象者である条件(年金法上の家族)についても、一定の制限があります。(支給と書きましたが、正確には加給年金額という「加算」にあたります)

1) まず、支給となる前提条件として、厚生年金保険の被保険者期間(受給者本人の加入期間)が20年以上必要となります。(中高齢の特例短縮の場合、15〜19年でも可)
2) 老齢厚生年金の受給権者と加給年金の対象にあたる者との関係は(主に配偶者と子)、まず生計維持関係が認められることです(同一世帯で生計を共にしている)。
3) この生計維持関係は、受給権者(本人)が老齢厚生年金の特別支給の定額部分、あるいは老齢基礎年金の受給時に判断されます。厚生年金の受給権が発生すると、請求(裁定請求)によって年金の支給が開始されますが、この年金請求書の記入や、その添付書類等で配偶者及び子の裁定が成され、加給年金の支給が決まります。
4) 配偶者の年齢が65歳未満であり、かつ年収が850万円未満であること。ただし、850万円以上あった場合でも、5年以内に年収が下回ることが確実である場合は、支給の可能性があります。
5) 子どもの場合、18歳未満(18歳になった日以降の最初の3月31日までが範囲)であること。20歳未満の障害基礎年金で、1級または2級の障害者である場合。

※ 上記の条件を満たしていても、下記に該当する場合は支給停止、もしくは支給されません。
配偶者が、退職共済年金や障害認定によって公的年金を受給されている場合、もしくは支給開始される場合。また、配偶者が厚生年金保険における被保険者期間が20年以上に達し、老齢厚生年金を受給する場合、65歳未満であっても支給停止となります。
※加給年金の支給停止については当ブログ0153→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120615

※ 生計維持関係(どうして法律上の夫婦と明記しないのか?)については、事実上の関係が問われ、戸籍上の関係が必ず優先されるとは限りません。
例えば、妻である場合、婚姻上の配偶者でなくとも、内縁の妻で夫婦としての共同生活が認められれば支給される場合もあります。また、婚姻関係にある妻がいて、しかし同一世帯で生計関係はなく、法律上の婚姻関係ではないが、同一世帯で共同生活の実態が認められれば、支給の可能性があります(婚姻による法的根拠が優先されますが、生活実態も有力な判定根拠になります)。
それから、子どもの場合も実子はもちろんで、養子や認知をした子ども、受給権を得た時、胎児であっても可能です。胎児の場合は、出生した翌月から対象者となります。

加給年金の対象者については、上記が要件となりますが、加算支給されるときの規定につて説明しておきます。
この加給年金額の支給は、実際には加算であるため、どこに加算されるのかを調べました。(解説書等もあまり明記されておらず、年金ダイヤルに問い合わせました)

65歳からの原則では本人の老齢厚生年金(いわゆる報酬比例)の給付に加算されます。
特別支給の場合は、定額部分の支給があることが前提条件の上、実際に加算されるのは報酬比例部分です。従って加給年金額は、定額部分や基礎年金には加算されず、報酬比例部分か老齢厚生年金に加算されます。
※老齢厚生年金、報酬比例部分については当ブログ0143→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120527

※ 特別支給でも定額部分の支給がなく、報酬比例部分だけの支給期間には、加給年金の支給はありません。
加給年金額の加算があって、65歳からの老齢厚生年金を繰下げした場合、繰下げとなった期間、加給年金額の支給もありません。そして加給年金額は繰下げの割り増しも対象外となっていますので、繰下げには注意して、利益的であるか試算が必要です。

日本年金機構、加給年金額については→ http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3224

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