0159 遺族基礎年金 

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者(加入者)が死亡、または受給要件を満たす被保険者であった方、もしくは既に基礎年金を受給されている方が死亡した場合に、被保険者と生計維持関係にある妻子に支給されます。

給付には、被保険者等が亡くなったことの確認できる書類が必要になります。年金請求時に死亡証明と戸籍末梢の確認があり、行方不明の場合は7年以上の年月が必要で、失踪宣告(普通失踪は7年、災害等の特別失踪の場合は1年の可能性有り)によって死亡の扱いとされます。また、例えば航空機事故等で生死の確認が後になって確定されたとき、死亡し時期がいつ起きたのかを判定できない場合には、事故当日に死亡と推定され、その日から受給権が発生するケースもあります。

この遺族基礎年金の受給要件には、まず亡くなった本人(被保険者または受給権者)の国民年金の(1)保険料納付条件、そして遺族基礎年金を(2)受け取る妻子の条件、それから遺族基礎年金の(3)受給できる期間(失権と支給停止ついて)の3つを満たすことで支給が成されます。
尚、支給金額については、納付期間に関係なく一定額になっていますので、最後に記しておきます。

1)保険料納付条件
○ 亡くなった月の前々月までの国民年金の保険料納付期間のうち、納付済期間と免除期間の合計が3分の2以上あること。言い換えると、納付できた期間の3分の1以上の滞納期間がないこと、になります。
○ 亡くなった日が平成28年(2016年)4月1日までで、亡くなった時の年齢が65歳未満の場合は、上記の条件を満たさなくとも、亡くなった月の前々月までの1年間に滞納がなければ認められます。(特例)
※ 上記の期間には、国民年金第1号被保険者では、任意加入時代も含みます。第2号被保険者では、20歳未満60歳以上の加入期間も含まれます。第3号被保険者期間があった場合も、期間に算入します。(第1号などの被保険者区分の説明は、当ブログ「0119年金の仕組み」を参考にして下さい。
2)受給する妻子の条件
○ 亡くなった本人と生計維持関係にあった子、または子のある妻。(妻のみの場合は対象外になり、支給は一時金となります)
○ 生計維持関係は死亡時で判定されますが、同一世帯であること、年収が850万円以下であること。ただし、死亡時に850万円以上の年収があっても、5年以内に一定額以下に年収が下回ることが確実であれば、支給の可能性があります。
○ 一般的には法律上の妻子が優先されますが、法律上の家族でない内縁の妻や認知した子の場合も、生計維持関係が認められれば、受給可能の場合もあります。また、死亡時に胎児であった子が、出生すれば該当する遺族となります。
○ 子の場合、年齢が18歳以下(18歳になって最初の3月末まで、一般的な高校生まで)が該当する遺族です。ただし、1級、2級の障害状態である子は20歳到達日の前日まで該当します。
○ 子の場合、上記の年齢に該当しても、婚姻されると対象から外れます。
○ 受給順位は子と妻、同等ですが、通常は妻が受給し、子はその受給額に加算されます。
3)受給期間は子と妻が対象から外れた時、それぞれ失権もしくは支給停止となり、受給できなくなります。
○ 受給権者である妻、もしくは子の死亡。(失権)
○ 受給権者である妻、もしくは子が結婚したとき。(失権)
○ 受給権者である妻、もしくは子が直系の血族、姻族以外の者の養子となったとき。また、何らかの理由で本人(死亡者)との養子縁組を解消したとき。(失権)
○ 子の年齢が18歳に達した最初の3月末、あるいは障害等級が1級、2級の子が20歳になったとき、対象外となり失権します。また、18歳以上20歳未満であっても障害等級の該当から外れた場合も失権となります。
○ 本人(国民年金の被保険者、もしくは受給権者)の死亡によって、労災保険から遺族給付を受けた場合。(支給停止6年)
○ 一般的に妻が遺族年金の受給者であるとき、子も受給権者でありますが、調整によって子は支給停止の状態になります。
○ 受給権者が1年以上行方不明である場合、他の受給権者の申請によって、行方不明となった時に遡って支給停止されます。

※ 遺族基礎年金の趣旨は、家庭内で第一生計維持者であった父を亡くした「子」への援助です。この援助すべき「子」を遺族基礎年金は、どのように定めているのか?それが支給条件の鍵となっています。理解する上でその鍵とは、新たな主生計維持者の出現です。夫を亡くした妻(母)が新たな男性と結婚したとき、同一世帯で生活を始めれば、その新しい男性(父)が主生計維持者となり、妻(母)は失権し、子は支給停止となります。子が同居しなかった場合、子は受給権者で支給可能になります。また、子が18歳を過ぎた4月以降、新しい主生計維持者とは自分自身のことです。別のところに養子に行けば、新しい家族が主生計維持者になるのです。

●遺族基礎年金の支給額(平成24年度)
妻と子1人 → 基本額:786,500円 加算額226,300円・・・・・計1,012,800円
妻と子2人 → 基本額:786,500円 加算額:452,600円・・・・・計1,239,100円
妻と子3人 → 基本額:786,500円 加算額:678,900円・・・・・計1,465,400円
子のみの支給では、→
子1人   → 基本額:786,500円 加算額:なし ・・・・・・・計 786,500円
子2人   → 基本額:786,500円 加算額226,300円・・・・・計1,012,800円
子3人   → 基本額:786,500円 加算額:301,700円・・・・・計1,088,200円
※ 子が4人以上の場合は上記の金額に、1人75,400円を加算されます。
※ 上記の支給金額は毎年改定されます。