0158 退職共済年金2 支給額計算

退職共済年金の支給額算出の考え方は、基本的には老齢厚生年金と変わりありません。

老齢厚生年金の報酬比例部分に、共済年金独自の「職域年金相当額」が加算されます。

この職域年金相当額は、組合員期間が最低1年以上必要で、満たない場合は支給されません。また、組合員期間が20年未満である方と、20年以上ある方では給付乗率が異なってきます。
支給額の算出式は以下の通りです。(尚、老齢厚生年金の支給額算出については、当ブログ0143、0144を参考にして下さい)
● 老齢厚生年金の場合、平均標準報酬月額(総報酬導入前)の算出は、→
(平成15年3月までの被保険者期間すべての標準報酬月額の合計 ÷ 平成15年3月までの被保険者期間の総月数)
 そして平均標準報酬額(総報酬制導入後)の算出は、→
(平成15年4月以降の被保険者期間すべての標準報酬月額および標準賞与額の合計 ÷ 
平成15年4月以降の被保険者期間の総月数)
※ 平成15年4月以後の総報酬制は、いわゆるボーナスも含めて計算します。
※ 上記の算式中の標準報酬月額および標準報酬額の算出には、手当や通勤代も全て含めた月給を98,000円〜620,000円の30段階に区分された、厚生年金標準報酬月額表から該当する月額を確定し、その標準報酬額を現在価値に見直すため、再評価率(現在は毎年改定)を乗じた算出額を上記の式に当てはめます。標準賞与額も同様です。
※ 平均標準報酬月額の正確な計算は、過去の平均標準報酬月額に再評価率(価値の見直し)を掛けた値ですが、現在では物価スライド特例措置のため平成6年時の再評価率で計算した平均標準報酬月額に1.031掛けて算出する必要があります。
※ 前説明は老齢厚生年金ですが、退職共済年金の場合は平均標準報酬月額→「平均給料月額」となり、平均標準報酬額→「平均給与月額」と名称が変わります。ただし、退職共済年金の解説提供されている専門のホームページを覧ると、必ずしも「平均給料月額」を使用しているわけではなく、老齢厚生年金と同じ用語で解説されているところも多数あります。
※ 退職共済年金の平均給料月額と平均給与月額の算出を正確に行う場合、独自の特例があります。過去の在職期間によっては算出に「換算率」が在り、一般職であった期間には「手当率」が在り、老齢厚生年金と同じく再評価率があります。従って、より計算は複雑になり、自分で計算して確認するのは困難な作業といえます。詳しくは、加入されている共済年金の窓口にご確認、ご相談ください。

● 定額部分
1)従前額 → 1676円 × 組合員期間の総月数 × 物価スライド率
2)本規定 → 1628円 × 組合員期間の総月数 × 物価スライド率
● 厚生年金相当額(総報酬制以前)
1)従前額 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.007500 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
2)本規定 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.007125 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
● 厚生年金相当額(総報酬制以降)
1)従前額 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.005769 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
2)本規定 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.005481 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
● 職域年金相当額(組合員期間が20年未満で総報酬制以前)
1)従前額 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.000750 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
2)本規定 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.000713 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
● 職域年金相当額(組合員期間が20年未満で総報酬制以降)
1)従前額 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.000577 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
2)本規定 → 平均標準報酬額(平均給与月額)× 0.000548 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
● 職域年金相当額(組合員期間が20年以上で総報酬制以前)
1)従前額 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.001500 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
2)本規定 → 平均標準報酬月額(平均給料月額) × 0.001425 × 組合員期間の総月数(平成15年3月までの) × 物価スライド率
● 職域年金相当額(組合員期間が20年以上で総報酬制以降)
1)従前額 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.001154 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率
2)本規定 → 平均標準報酬額(平均給与月額) × 0.001096 × 組合員期間の総月数(平成15年4月からの) × 物価スライド率

※ 従前額とは「今まで通り」という意味です。この場合平成16年の改正で本規定の算出に決まりましたが、経過措置として従前額(平成6年時の金額を基礎)の算出計算を認めています。正確には、従前額、本規定どちらか有利な方となっていますが、例外的な場合の除き、殆どは従前額の方が高額になります。従って、上記の算出式で?従前額?本規定と二通りの式を書いていますが、現在は従前額で計算されています。
※ 平均標準報酬月額と平均標準報酬額の次に掛けている数値は給付乗率(上記の算式、0.000750等の数値の部分)です。給付乗率も正確には生年月日によって乗率が異なってきます。上記の給付乗率の数値は昭和21年(1946年)4月2日以後生まれのすべての方が対象になります。それ以前生まれの方は昭和2年まで1年刻みで乗率が異なりますが、昭和21年生まれの方も現在では66歳で、一般的には既に裁定が済み、受給されていますので、それ以前生まれの方の給付乗率は省略させて頂きました。
※ 給付乗率の「従前額」と「本規定」の関係は5%の減率です。つまり従前額の乗率に0.95を掛けた値が本規定の給付乗率になります。
※ 給付乗率の「総報酬制以前」と「総報酬制以降」の関係は1.3で割った値です。つまり総報酬制以前の乗率を1.3で割ると総報酬制以降の給付乗率の値になります。
※ 算式の「物価スライド率」は毎年、改定があります。
※ 加給年金額については、老齢厚生年金と同様に支給されます。尚、加算額についても同じで、配偶者、第1子、第2子までは平成24年度で226,300円、第3子以降は1人につき75,400円の加算となっています。加給年金額の内容は当ブログ0150、0151でお願いします。