0162 遺族厚生年金3 寡婦加算について

遺族基礎年金では「子のいない妻」に支給はありません。「子のいる妻」の場合でも、子が18歳を過ぎた3月末で、障害等級の子の場合は20歳になったとき、それぞれ対象から外れ、失権となり、遺族基礎年金の支給はなくなります。

遺族厚生年金では、遺族基礎年金のこうした支給終了の後、一定の条件を満たせば「寡婦加算」として、遺族厚生年金の支給額に加算されます。

● 中高齢寡婦加算
支給要件は、短期要件で受給される時は被保険者であった期間の長さは問われませんが、長期要件で受給される場合は、被保険者期間が最低でも20年以上が必要です。
「子のいない妻」の場合では、夫が亡くなった当時、妻の年齢が40歳以上65歳未満であれば、65歳に達するまで中高齢寡婦加算が上乗せされます。
「子のいる妻」の場合、子が遺族基礎年金の該当遺族から外れる年齢(18歳、障害の方は20歳)に達するまでは遺族基礎年金の支給があります。子がこの年齢に達し、失権した当時、妻が40歳以上65歳未満であれば、65歳に達するまで、上記同様に加算されます。
中高齢寡婦加算の金額は定額で、平成24年度現在589,900円となっています。尚、加算額は毎年改定されます。

● 経過的寡婦加算
中高齢寡婦加算が65歳で支給停止なり、それ以降の年齢では通常、老齢基礎年金の受給が始まります。このとき中高齢寡婦加算は、経過的寡婦加算として上乗せされる可能性があります。条件としては、遺族厚生年の受給権者である妻で65歳に達し、生年月日が昭和31年4月1日以前に生まれた方が該当します。
経過的寡婦加算の金額は生年月日に応じた、加算額の一覧があります。昭和31年以前生まれの方で、1年刻みで加算額を定めています。生年月日が古いほど、より加算額は高くなり1年差で2〜3万円程度違ってきます。尚、その一部を掲載しますが、今年65歳になる方が昭和22年生まれにあたりますので、その前年である昭和21年〜昭和31年までを記載しておきます。
昭和21年4月2日〜昭和22年4月2日生まれ・・・・・・196,700円
昭和22年4月2日〜昭和23年4月1日生まれ・・・・・・177,000円
昭和23年4月2日〜昭和24年4月1日生まれ・・・・・・157,300円 
昭和24年4月2日〜昭和25年4月1日生まれ・・・・・・137,700円
昭和25年4月2日〜昭和26年4月1日生まれ・・・・・・118.000円 
昭和26年4月2日〜昭和27年4月1日生まれ・・・・・・ 98,300円 
昭和27年4月2日〜昭和28年4月1日生まれ・・・・・・ 78,700円
昭和28年4月2日〜昭和29年4月1日生まれ・・・・・・ 59,000円
昭和29年4月2日〜昭和30年4月1日生まれ・・・・・・ 39,400円
昭和30年4月2日〜昭和31年4月1日生まれ・・・・・・ 19,700円
昭和31年4月2日以後生まれの方は対象外のため、加算額はありません。
※ 上記は平成24年度の金額で、毎年改定されます。
※ 経過的寡婦加算の金額は、国民年金の保険料納付期間が昭和61年(1986年)4月1日から60歳に達するまでの期間で、老齢基礎年金の支給額を計算した場合、その支給額と経過的寡婦加算の額を足して、中高齢寡婦加算の額を下回ってはいけない。とされています。

これは昭和61年から年金のいわゆる強制加入が始まり、それまでは任意加入でしたから、例えばサラリーマンの専業主婦だった妻が、昭和61年に第3号被保険者として加入し、当時40歳だった場合、第3号被保険者なので受給資格期間は満たすことになりますが、支給額については20年分で、20歳〜60歳までの最大月数からすると半分になります。平成24年度の老齢基礎年金の支給額は最大月数(480ヶ月)で786,500円なので、この妻の場合、支給額は年額約393,300円となります。昭和61年当時40歳なので、昭和21年生まれになりますから、上記の経過的寡婦算額は196,700円で、老齢基礎年金の支給額を足すと、393,300円+196,700円=590,000円になります。従って、中高齢寡婦算額は589,900円なので、規定通り下回ってはいません。 
と言うことになります。

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