0166 障害厚生年金

※ 障害等級の認定の概要は、前回の障害基礎年金(当ブログ0165)を参考にして下さい。

●受給要件
(1) 障害認定された場合、その障害の初期診断が、厚生年金保険の被保険者期間(加入期間中)に初診日があること。
(2) 障害認定日において、障害等級が1級、2級、3級の状態が該当します。
※ 尚、障害等級の判定については、前回の障害基礎年金と同様に「事後重症制度」や「基準障害」についても認定されます。

●保険料納付要件
※ 障害厚生年金の保険料納付要件は障害基礎年金の保険料納付要件と同じです。
(1)厚生年金保険の保険料納付期間と保険料免除期間の合計が、初診日の前々月までに、最大可能納付期間の3分の2以上あること。つまり、保険料の滞納が3分の1以上ないこととなります。
(2)初診日が平成28年4月1日以前で、かつ65歳未満である場合、初診日の月の前々月までの直近1年間において滞納がないこと。

●支給額算出
 A = 平均標準報酬月額×0.0075×平成15年3月以前の被保険者期間の総月数
 B = 平均標準報酬額×0.005769×平成15年4月以降の被保険者期間の総月数
長期要件:支給額 = (A+B)×1.031×物価スライド率
短期要件:支給額 = (長期要件支給額÷被保険者期間の総月数)× 300
※ 長期要件と短期要件の違いは、厚生年金保険の被保険者期間(加入期間)の総月数が300ヶ月以下(短期)か301ヶ月以上(長期)で分かれます。
※ 短期要件では被保険者期間の300日を保証してくれます。つまり、被保険者期間が300日未満の場合でも300日として算出するため、長期要件の算出した金額を被保険者期間の総月数で割り、ひと月あたりの支給額単価を出して、300を掛ける計算になります。
※ 上記の算式は、老齢厚生年金や遺族厚生年金の基になる式ですが、従前額保証の給付乗率については、障害厚生年金の場合、定率で生年月日による読替はありません。
※ 物価スライド率は毎年改定されます。平成24年で0.978、平成23年の0.981からマイナス0.3%の値です。
※ 上記の算式で算出した支給額は障害等級2級または3級で、1級の場合はその支給額の1.25倍となります。
※ 上記の算式「平均標準報酬月額」や「平均標準報酬額」については当ブログ0128、0143、0161の内容を参考にお願いします。
※ 障害等級3級の支給額には、平成24年で589,900円が最低保証額として定められています。

●障害手当金
 障害厚生年金の場合は、障害手当金というものがあります。これは厚生年金保険の被保険者期間中に初診日があった障害で、障害等級が3級より、少し低い障害が認定されたときに、一時金として支給されます。支給額は上記の算式(A+B)の2倍が支給額となります。尚、これにも最低保証額があり、平成24年では1,150,200円となっています。

●配偶者の加給年金額
 障害等級が1級または2級の障害厚生年金の受給権者が対象で、同一世帯で生計維持関係がある配偶者に加給年金額が加算されます。金額は平成24年226,300円となっていますが、物価スライド特例措置により毎年改定されます。
 65歳を過ぎると振替加算もありますから、基本的には老齢厚生年金の「加給年金額」と同じ制度内容ですが、違いがあるところは→
(1)障害厚生年金の受給権が発生した当時に限らず、後に婚姻をしても対象になること。
(2)老齢厚生年金には配偶者加給年金額に特別加算額がありますが、障害厚生年金には、この特別加算額はありません。

尚、加給年金額については、当ブログ0150、0151、0152、0153を参考にお願いします。