0178 企業年金6 確定拠出年金1

さて、年金のお勉強も最終章に差し掛かりました。

一応、見知らぬ他人が読んでも理解できるような文章を心掛けてきましたが、内容は「お勉強ノート」で初歩的な年金の本から、雑誌、専門的な年金の書籍と計5冊の本と、インターネットでの年金専門のホームページ、厚生労働省日本年金機構のホームページ、確認が取れない時は年金ダイヤルに直接電話で尋ね、それらを駆使して、調べて学んだ内容をノートにして、公開していきました。

誤りに気付いた点は、再度書き直しをしたり、削除したりと訂正もいくつか行いましたが、奇数日に必ずこの「お勉強ノート」を、ブログにアップすることを自分に約束したので、毎日欠かさずお勉強をして、進んでいかないと間に合いません。なので過去に書いたノートの訂正に関しては、なかなか見直すヒマがないのも現状です。専門書などを読んで、誤認するような箇所があれば、何度も通読し、他の書籍も読んで理解し、それでも怪しい箇所は、インターネットや年金ダイヤルで何重にも調べていますが、様々なケースを想定した年金制度は、その上に改正が幾度となく行われていて、特例措置が多く存在し、一筋縄ではいかない複雑な制度でした。ま、単純で誰もが分かるような制度であれば、この分野の専門職は存在しないでしょう。

公的年金制度の勉強をして解ったことは、この国が「国民皆年金」と謳ったのは、それ程むかしではなく、昭和34年に国民年金法が制定され、昭和36年に保険料の徴収が始まり、強制的な制度として成立したのは昭和61年(1986年)のバブル経済まっしぐらの時代で、昭和34年生まれの方は現在53歳で年金受給は未だであり、昭和34年時に20歳であった方で73歳になり、昭和61年時に20歳であった方は未だ46歳で、つまり公的年金制度が事実上の「公的」となった世代の者は、まだ全く年金受給が行われていないにも関わらず、制度は崩壊寸前になっています。これでは公的年金制度の、始めから設計が甘い、と言うより非道いとしか言いようがありません。

年金は国民にとっては、なくてはならない制度ですが、会社勤めをして、あるいは自営業をして毎月決まった掛金を支払っていても、多くの方は65歳以降に受給する老齢厚生年金や老齢基礎年金のみでは、なかなか生活を成立させることは困難です。大企業に勤めて、厚生年金基金などの3階部分の支給もあって、尚かつ退職金も2000万円以上あれば普通に暮らしていけるかも知れませんが、それは実際のところ少数派です。

年金制度の解決策はこれから大きく変化する可能性を否定できません。既に年金の掛金以外に制度運営を維持するために、年金額の半分以上は税金が投入されています。それでも今後はその税金の比率を上げていかないと維持できません。つまり税金によって制度の維持管理を行わないと、年金の支給ができなくなることが目に見えています。

もう一つ年金制度の解決の方法があるとすれば、それは国が年金システムの支えきれない部分を、国民や民間企業に任せるのです。簡単に言えば、「国民の皆様、年金で足りない部分は自己責任で勝手にやって下さい、国はもう面倒みません」そうなっても不思議ではありません。現在でも民間の企業年金はこれに近い状態になっているのではないでしょうか。

バブル経済が崩壊後の日本経済は皆さんがご存じの通りで、国の財政にしても、株価にしても当時からすれば信じがたい程の悪化、低水準になっています。この日本がバブル経済前後、世界では社会主義が崩壊して、民主主義と資本主義へと変貌してゆき、少しずつコンピューターの普及、低価格化が進み、90年代後半からは企業はもちろん家庭用のパソコンも浸透し始め、2000年代に突入すると、携帯電話があっという間に1人1台時代となり、通信技術は飛躍的な進歩を遂げ、企業競争はグローバル化し、世界で勝ち抜いていかないと成長しない時代へと変化してゆきました。

このバブル以前の高度成長期に企業は従業員への報酬として、あるいは優秀な人材を確保する一つの手段として、老後の保障といえる約束を従業員に提供していました。これが企業年金の姿だったのですが、その予定利率は5%以上を見積もって約束されていたため、バブル崩壊後おおきく運用利回りは下回り、積立不足は企業にとって忽ち巨額な債務となりました。

90年代当時の会計基準では、企業年金における将来に必ず発生する債務は、企業会計の制度上で負債計上がなかったので、隠れ債務として海外の投資家から批判に晒されていましたが、2000年以降の新会計基準では、退職給付引当金として負債計上が必要となりました。(ただしこの計算はかなり複雑です)

この新会計基準によって企業年金は、これまでの確定給付型(将来受取る年金の給付額を加入時に約束している)から、確定拠出年金型に変更し、これによって積立不足が生じない企業年金制度に移り変わり、今日では多くの企業が、この確定拠出型の企業年金に変更され、中小企業では大企業に比べ、より顕著に採用され、全体的にみても毎年増加の一途を辿っています。