0179 企業年金7 確定拠出年金2

確定拠出年金確定給付年金と違って、掛金を預けた金融機関の運用成績によって、受け取る年金額が異なってくることです。また、企業にとっては負担する掛金に変化はなく、確定給付型と違って、後発債務が発生し積立不足が生じることはありません。これによって企業会計の上でも、確定拠出年金は有利であると言えます。

企業にとってはリスクの少ない年金であるのですが、将来に年金を受取る側の従業員、確定拠出年金の加入者にはメリットはないのでしょうか?

確定給付型の場合、支給額が予め決まっているため、将来の年金暮らしで生活設計が立て易い、経済情勢に左右されにくい、そのような利点があったのですが、確定拠出型では、将来の受取る年金額は、個人別に異なってきますし、年金資産の運用次第で給付額が変わってきます。運用成績がよければ、掛金に対する受取額も予想以上に多くなることも期待できますし、逆に運用成績が悪ければ受取額は掛金の総額を下回ることもあり得ます。

この運用を実際に行うのは、商品を提供する金融機関ですが、その商品を選択するのは加入者本人となります。(確定拠出年金の仕組みについては次回で!)将来受け取る年金額に責任を負うのは加入者本人なのですから、どのような商品を選択すれば、将来自分の年金受給に対して、損をせず少しでも有利な年金生活を送れるのか、その投資に関連する勉強が不可欠と言えます。

こうして考えると確定拠出年金は、リスクも負うし、投資の知識まで獲得しなければならない、それから運用指図(商品選択)しますから手数料の負担もあります。そうなると何も良いところがない、面倒で厄介な年金に思うかも知れませんが、基本的に個人別勘定なので、転職等にも自分の年金資産を継続できることになります。

確定給付型年金の場合は、年金資産が団体全体で管理されているため、個人別に年金資産状況を確認することはできません。従って転職等の中途退職時には、加入している年金管理団体から脱退することになり、規約に定めている一時金による、事実上の清算という形になります。それから年金受給権の発生には、公的年金のように受給資格期間等の規定が設けられています。

一方、確定拠出年金では年金資産の運営管理を個人別に行うため、自分の年金資産の残高や運用状況を確認できます。従って転職などで、別の勤め先に変わっても、年金資産の清算はされず、そのまま継続して年金の運用管理ができるようになっています。それから受給権が発生する条件は、掛金を3年以上支払えば受給権が発生します。ただし、原則60歳を過ぎるまでは、年金資産を途中で引き出すことはできません。

また、この確定拠出型年金は企業型年金と個人型年金(個人年金とは別の仕組みです)に大別され、そろぞれ仕組みが異なっています。これについては次回の確定拠出年金3で解説します。

確定拠出年金は日本で新しく導入される前に、アメリカの企業で先に導入されていました。現在アメリカの大企業では、この確定給付型年金と確定拠出型年金を組み合わせたハイブリット型が主流となっています。