0182 企業年金10 確定拠出年金5 

確定拠出年金の最大の利点は、個人別に年金資産の管理がされていることで、これは確定給付型にはない特徴といえます。これによって年金資産は実質的に個人保持されることになり、転職や中途退職者には有効な制度となっています。いわゆるポータビリティ制です。

転職などで会社が変わるとき、この年金加入も手続きによって継続できます。この時に年金資産が別の資産管理機関に移すことを「移換」と呼びます。

企業型年金加入者が転職によって移換となる場合、転職先の会社も確定拠出年金企業型であれば移換できますが、確定給付型であった場合は確定給付型に加入が必要となりますので、確定拠出年金においては運用指図者(当ブログ0181前回で説明)となります。

またサラリーマンから自営業に転職した場合、企業型から個人型となって国民年金基金連合会に移換となります。例えば、結婚をして辞めて専業主婦となり、しかし前会社で確定拠出年金の資産がある場合も運用指図者となります。

様々なケースが想定されますが、基本的には確定拠出年金の加入者で掛金を3年以上納めている者であれば、移換もしくは運用指図者のどちらかに該当します。

尚、掛金拠出が通算3年以下であった場合でも、請求によって脱退一時金が支給されます。ただし、幾つかの条件を満たす必要があります。
 
 確定拠出年金の給付に関しては以下のものがあります。
(ア) 老齢給付金
(イ) 障害給付金
(ウ) 死亡一時金
 上記の請求は運営管理機関が裁定を行い資産管理機関に通知し、資産管理機関が給付を行います。

●老齢給付金
 60歳に達し加入者でなくなった場合、規約によって支給されます。5年〜20年または終身、もしくは全部を一時金、一部を一時金として受取ることもできます。
 尚、60歳時で通算加入期間が10年未満であった場合、支給開始年齢は次のように規定されています。
 8年以上10年未満・・・・・・61歳以降
 6年以上8年未満・・・・・・62歳以降
 4年以上6年未満・・・・・・63歳以降
 2年以上4年未満・・・・・・64歳以降
 1ヶ月以上2年未満・・・・・65歳以降
※ 通算加入期間には企業型、個人型の加入期間を合算の上、その運用指図者であった期間も合算されます。
※ 請求しないまま70歳を過ぎた場合、運営管理機関の裁定により支給されます。

●障害給付金
 確定拠出年金の加入者、もしくは加入者であった者が70歳に達するまでに、一定の障害状態になったとき支給されます。
 障害認定の条件は障害基礎年金(当ブログ0165)を参考にして下さい。ただし、その後、障害が治癒しても支給停止の規定はありません。

●死亡一時金
 加入者または加入者であった者が亡くなったときに、遺族に支給されます。
 支給される遺族の範囲は、生計をともにしていたことが前提で、(1)配偶者、ただし事実婚も含みます。(2)子、父母、孫、祖父母、および兄弟姉妹。(3)前期以外の親族で、加入者の死亡当時に生計をともにしていた者。

※ 受給権の順位は上記の順番通りです。尚、親族の範囲は上記(2)までが該当範囲ですが、生計を共にしていなかった場合でも、加入者本人が死亡する前に、上記の範囲の親族の一人を受給者として指定していた場合は、その指定が有効とされます。
※ 受給権者が同等で複数となった場合は等分して、支給されます。