0190 税金7 付帯税

付帯税はあまり聞き慣れない言葉かもしれません。これは罰則的な税金、加算税です。

申告しなかったり、ウソの申告をしたり、期日までに納付ができなかったり、そのようなケースに該当します。

申告納税制度では自己申告によって納税することになっています。実際に1年間の課税額を清算して納付に至るのは「確定申告」によって完結します。しかし、その場合も所得額を間違っていたり、計算に誤認があったり、結果的に適正な納付額でなかった場合は「修正申告」もしくは「更正の請求」が必要となります。

両方とも納税額に誤りがあった場合に行う手続きですが、修正申告は過少であった場合、つまり本来納めるべき税額より少なく納めたので、修正申告をして不足分を納付する制度ですが、更正の場合は逆に多く納めすぎたケースに当たります。

修正申告では、自ら気がついて申告する場合と、税務調査などによって税務署から指摘を受けて申告に至る場合との、2つのケースが考えられます。どちらにしても「修正申告」には違いなのですが、罰則的な加算額については差が生じてきます。

更正の場合は、納めすぎた税金を取り戻すことになりますので「請求」によって認められると還付(返金)される仕組みになっています。還付には利子分が上乗せされます。ただし請求は、申告期限から1年を限度とされています。

また税務調査には任意調査と強制調査があります。通常は納税申告書が税法に従って計算されてない場合などを根拠に、調査を行います。この場合は「質問検査権」によって、当事者に質疑や帳簿書類の調査を実施します。質問検査権には、滞納による差し押さえの処分も実行できる権限があります。

納税者はこの検査権を拒否することはできず(受忍義務)、正当な理由なく拒否をすれば罰則や罰金の規定があります。

強制調査は「国税犯則取締法」による調査のことで、伊丹十三の映画「マルサの女」はこの強制調査がクライマックスになっていました。裁判所による捜査令状によって実行されますから、犯罪者としての追求になってきます。

※「更正」という言葉は、税法上では規定に従って計算された納税額に正すような場合に使用されます。上記のような場合「納税者→国税」で「更正」を使用していますが、通常は税務当局が納税申告書の不良や不正を指摘するため「国税→納税者」の場合に「更正」を使うケースの方が多いとされています。

付帯税には以下の種類があります。国税を取り上げていますが、地方税にしても同様な加算税があります。
(1) 過少申告加算税
 申告が期限内申告に過少であった場合、修正申告や更正によって納付額の10%が過少申告加算税として課税されます。この加算税は、不足分を補う追加納付分に10%が加算されます。つまり(修正後の額−修正前の額)×10%が加算税として課税されます。

また、上記の差額(修正後の額−修正前の額)が、修正前の額と50万円のどちらか多い方をとり、その超過分に関しては15%の加算税として計算されます。
少し分かりにくいかもしれませんが、例えば、修正後の額が100万円で修正前の額が60万円であれば、(100万−60万)=40万で、修正前の額と50万円を比べると修正前の額の多いので、差額が60万円を超過していれば、その分が15%の加算税になりますが、40万円なので超過はなく10%の加算税のみとなります。しかし修正後の額が100万円で修正前の額が30万円であれば、100万−30万=70万で、修正前の額と50万円を比較すると50万円の方が多いので、70万−50万=20万円が超過し、この額が15%加算税の対象にあたります。
尚、この過少申告加算税は税務調査を予知せず、自主的に行われた場合には加算税は課税されません。

(2) 無申告加算税
個人の場合は1月1日〜12月31日の1年間の所得の納税は、翌年の2月16日〜3月15までに「確定申告」(サラリーマンで給与所得のみの場合は年末調整で完結)、が必要で、1年分の所得税清算し納税します。これを期限までに納税がなかった場合、期限後申告となり無申告加算税の対象になります。また、税務署からの修正申告、更正、決定による納付も期限後の場合は、無申告加算税として15%の加算税が課せられます。

この無申告加算税の対象となる税額が50万円を超える場合は、その超過分に対して20%の加算税率が適用されます。

また、期限後の申告が税務調査によらない自主的な行為であれば、加算税率は5%となり、法定申告期限から2週間以内に自主的な申告を行い、過去に無申告加算税や重加算税の課税されたことがなければ、加算税は課せられません。

※上記の「決定」とは、修正申告や更正の場合、結果的には納税者との合意の上、適正な納税額が確定しますが、決定の場合、税務署が税務調査の上で、一方的に適正な納税額を確定することです。大雑把に言えば、決定とは税務署が強制的に納税額を決めることです。

(3) 重加算税
 過少申告や無申告、不納付の場合で、納税額の算出において誤魔化しや隠蔽などの事実があった場合に35%、場合によれば40%の加算税が課せられます。

(4)不納付加算税
源泉徴収における納付が、期限までに完納されなかった場合が該当します。不足分に対して10%の加算税が課せられます。
ただし、納税告知を受ける前に自主的に完納された場合は5%の加算税で済みます。

(5)延滞税
 法定納期限までに納付がなされなかった場合、その翌日から完納までに年利14.6%の延滞税がかせられます。ただし、2ヶ月までは「公定歩合+4%」の税率で加算されることになっています。

(6)利子税
 法定納期限までに完納できない場合、申請手続きによって期限の猶予が認められます。このときに加算される税のことを利子税と言います。
 現在この利子税の対象となっている税金の種類は「所得税」「法人税」「相続税」「贈与税」の国税です。延期が認められる条件は、その税金の種類によって異なり、税率も内容によって異なります。