0192 所得税2 それは所得税?

会社が商いをして利益を上げれば、それは法人所得となり、法人税として課税されます。個人にしても同様で、所得は税法上のルール従って課税されます。

税法に該当する所得とは何であるのか?に、ついては特に制限がありません。全ての所得が対象になります。それで前回に「所得」とはどのような場合に「これは所得である」と言えるのか?を問いました。

まず、資産の増加があれば所得の可能性を疑い、それが損失の回復や、借入金(お金のレンタル)でなければ「儲け」にあたり、所得となりうる。会計的な解釈では「純資産の増加」が所得である。そのような定義でした。

では、今度は「儲け」であれば、全て所得税として課税されるのでしょうか?

多くの人は、日々アルバイトや会社勤め、あるいは個人で商店などを営み収入を得ています。その収入は税法上、規定の費用を差し引いた分を、所得として課税されているわけです。これは働く殆どの人が貢献している「所得税」で、その所得分類は「給与所得」にあたります。給与とは労働の対価です。

所得税法が規定する所得の種類は10種ありますが、どのような所得であっても、この中のいずれかに該当するようになっています。利子や配当、給与に退職金、不動産から生じる利益、資産の譲渡による利益などの分類があり、最後に「雑所得」なる所得があるのです。これはつまり、10種あって9つの所得分類に該当しない所得が、この「雑所得」となりますので、税法上の認識では「所得に該当しない」所得は存在しなしことになります。もちろん例外的な設定として「非課税」とする条件もありますが、一般的に儲けがあると所得税としての納付がある、そうなります。

では、次の資産を売却するときの課税を見てみましょう。
★ 時価5000万円の土地を所有していて、その土地の売却を考えています。
 → 買い手を探して普通に売却すれば、譲渡税として5000万円のうち取得にかかった費用等を差し引いた額に課税されます。
★ 売却ではなく、ただで土地を譲るとどうなるのか?
→ それは無償譲渡になりますので、贈与税として課税されます。
★ ただであげても結局は課税されるので、それなら1000万円くらいの安値で売却しよう。
 → あまりに安いと、本来の価格を算出して、その金額に課税されます。
★ どうやっても税金をとられるので、もう売却しません。
 → 土地の所有者が亡くなると、その土地は相続人に所有権が移り、そのときに相続税が掛かります。

上記の例は、あまりに単純な事例なので、現実に課税される場合には、たくさんの条件や規定が絡んできます。贈与税相続税が出てきましたが、個人の所得が所得税として、課税されない場合は、非課税に該当するか、贈与税もしくは相続税として扱われるか、になります。

また、課税から逃れるような抜け道を探しても、おそらく見つからないでしょう。所得という「儲け」が現実にある限り、そこに課税する根拠が発生し、どのように姿を変えても、本来課すべき「儲け」の適正を税法は規定しています。

抜け道ではなく、節税の本もたくさん出版されていますが、節税とは現行の特例措置やルールを有利に活用することです。しかし、その節税にしても簡単とは言えません。税法の規定やその改正、時限的措置、政策的措置などの特例は山のように存在し、その制度を理解するだけでも骨の折れる作業です。

年金もそうでしたが、税金も難しいことは、専門家にまかせましょう!