0193 所得税3 所得税の仕組み

毎日を暮らしゆくためには、何かしらの活動を行い、経済的利益を得なければ生きてゆけません。しかし、その得た利益(儲け)のずべてを、各個人こじんがそれぞれ自由に使い果たせるわけではありません。これまで学んだ健康保険にしても、また雇用保険や年金にしても、社会保障制度を利用することで日常の暮らしが安定化され、その対価として一定の費用を納める必要が生じるわけです。

税金も同様な意義をもっています。経済的利益を得る活動は、様々な社会的機能が安定しているからこそ成立し、その維持管理費は税金と言うシステムから捻出することになっています。最近では税の補完手段として国債も増え続けていますが、それでも主役は税金なのです。

その税収の多くは、国税の直接税である「法人税」「所得税」「相続税」「贈与税」から構成されています。この国税直接税の4つはすべて会社や個人の「儲け」から、つまり所得が税収の根拠となります。

会社が儲ければ法人税、個人の儲けは所得税、場合によれば相続税贈与税、これらの税金を納めるとき、もちろんその納付額を算出するのですが、どれをとっても単純とはいえません。計算そのものは「所得=収入−経費等」で、そこから規定されている「控除」、該当する何かを引いて、その後「税率」を掛けるだけなので簡単なのですが、計算手順やその規定は、様々な場面を想定してルール作りをしているため、うんざりするほどの条件が存在し、算出手続は所得の種類が多いほど複雑化してゆきます。
 
所得税における、大まかな流れは以下のとおりです。

(1) まず、そもそも納税義務者である範囲の確認があります。これにも細かい規定があり、それによって判定されますが、大雑把に言えば外国人旅行者以外、国内で収入を得た人は、全て対象になると考えてよいでしょう。

(2) 課税対象期間は1月1日〜12月31日の一年単位です。

(3) そして収入(資産の増加)のうち、非課税に該当する以外は全て所得として扱われます。海外からの送金も同様です。所得はその「何で得た儲けなのか?」によって10種類の所得に分類されます。「利子所得」(当ブログ0199〜0205)「配当所得」(当ブログ0206〜0213)「事業所得」「不動産所得」「給与所得」「退職所得」「山林所得」「譲渡所得」「一時所得」「雑所得」

(4) 10種のそれぞれの所得に対し、各種規定されている費用や控除(配偶者控除や医療費控除など)を計算し、そして他の所得と合算、損失があれば相殺等を行い(損益通算)、所得額をだします。

(5) 上記の額から所得控除という規定された控除、特別措置等の控除を行い、この額が課税対象になる金額で、税率を適用して算出します。

(6) 算出された額から、今度は税額控除という規定の控除を行い、算出された額から、先に納めている源泉徴収額を引いた額が納税額となります。

(7) 最後に一年を通して過払い分や、不足分を清算します。これが確定申告(2月16〜3月15日)や年末調整にあたります。これでその年の納税が事実上の完了となります。

所得税納付額を計算する場合、イメージとしては、所得の種類を10種類分ける、これが横幅で、順序に沿って控除や相殺、税率等を計算してゆくことが、奥行きといいますか、縦幅にあたります。

国税庁、暮らしの税情報→http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/index.htm
税理士会、やさしい税金教室→http://www.nichizeiren.or.jp/taxpayer/pdf/kyoshitsu_H24.pdf#search='%E7%AB%8B%E9%80%80%E6%96%99+%E8%AD%B2%E6%B8%A1%E8%B2%BB%E7%94%A8+%E9%85%8D%E5%88%86'

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