0207 所得税17 配当所得2 配当所得の課税方法

配当所得の課税方法は、原則、総合課税とされています。しかし、実際には申告分離課税源泉分離課税(申告不要制度)の3つの中から、投資家にとって一番有利な課税方法となるものを選択できます。

● 総合課税(確定申告が必要)
配当所得の総合課税を選択した場合、他の所得と合算して所得税率を掛けて算出します。
所得税率は超過累進課税(5%〜40%)なので、所得が高い、高収入な方ほど納める税金は多くなります。
従って高収入な方ほど不利な課税方法といえますが、有利な点として配当控除という税額控除があるので、計算上では考慮が必要です。税額控除は所得税率を掛けた後に、差し引きますから、ほぼ納税額から控除されるのと同様な計算になるので、控除そのものはかなり有利な控除です。尚、総合課税を選択しなければ配当控除は受けられません。
配当所得は通常、源泉徴収されます。徴収税率は来年末である平成25年12月31日までは配当金に対し7%と住民税3%の計10%の徴収税率です。ただし、これは特例の経過措置なので、平成26年以降は利子所得と同様に計20%の徴収税率となります。平成25年以降、平成49年までは東日本大震災の特例措置として2.1%を乗じた率、1.021倍になり平成25年では徴収税率は7.147%+3%、平成26年以降は徴収税率は15.315%+5%となる予定です。
総合課税の場合、いったん源泉徴収された後、総合課税で確定申告を行い、納税額確定前に先に、支払った源泉徴収額が控除されます。(納税額計算手順は、★当ブログ0198で→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20120917
また、総合課税を選択すると、配当控除は受けることができますが、上場株式の譲渡損失による損益通算はできません。

申告分離課税(確定申告が必要)
申告分離課税の場合の税率は、前述した源泉徴収税率と同じです。申告分離課税では、上場株式の譲渡損失による損益通算が可能です。証券会社等の特定口座を利用すれば「年間取引報告書」が交付されるため、確定申告での計算が軽減できます。

★当ブログ0208、特定口座について→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20121007
★当ブログ0209、源泉徴収口座について→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20121009

源泉分離課税
この源泉分離課税は、現在では私募公社債等運用投資信託、又は一部の特定目的信託の収益の分配等以外は、制度上において廃止されています。
しかし、雑誌や一部の解説本では、しっかりと配当所得では「源泉分離課税」が課税方法として選択できる旨が記されています。この内容を調べると、証券会社等で扱う「特定口座」での源泉徴収口座のことで、申告不要制度の場合を指しています(結果的に源泉分離課税と同じことになります)。
尚、特定口座については、次回のブログ0208でお伝えします。

● 申告不要制度
上記の特定口座で、源泉徴収口座を選択した場合、原則は確定申告が不要です。もう一つは、少額配当金で、一回の配当金額が(10万円 × 配当計算期間の月数 ÷ 12)以下である場合は、源泉徴収されて納税が完結します。ただし、発行済株式の3%以上を保有する大株主には適用されません。
※上記の配当計算期間の月数で、1ヶ月に満たない日数は切り上げて1ヶ月として計算します。また、1年を超える場合は1年として計算されます。

国税庁、上場株式等の配当所得に係る申告分離課税制度→https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1331.htm
国税庁株式投資等と税金→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/shoto312.htm
日本証券業協会、配当金と税金→http://www.jsda.or.jp/manabu/publications/files/zeisei_2-3.pdf
★NISA→http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130627/1372343935
★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。。→ http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102