0208 所得税18 配当所得3 特定口座

株や投資信託を買ったことがない人は、ピンとこないかもしれませんが、証券会社に口座を開設するとき、必ず特定口座も開設するかどうか案内があります。

特定口座とは、証券会社等の金融機関が、その口座内で取引された株や投資信託等の譲渡利益や配当から生じる所得、その所得に対する課税を金融機関側が計算して、納税を代行してくれるサービスです。尚、課税方法で総合課税を選択した場合は、この特定口座の開設はできません。

この特定口座における納税サービスは、いっけん証券会社が自主的に行なっているサービスにも思えますが、そうではありません。「特定口座制度」という税法上の特例措置にあたり、証券会社等の金融機関が源泉徴収者となり、投資家の納税の簡便化を目的とした制度で、詳しくは国税庁のホームページで確認できます。

一般口座のみで、株等の取引を行うと、株の売り買いから発生した利益や損失、配当等の所得は、自ら計算して確定申告を行う必要があります。これは売り買いが多いと、かなり厄介で手間がかかる作業と言えます。結局は利益が出ても、損失が出ても申告して納税手続きが必要ですから、特定口座を利用した方が、かなり便利であると言えます。

まず、開設時には「特定口座開設届出書」や「特定口座源泉徴収選択届出書」の提出が、金融機関を通じて行うことが必要で、同時に住民票や健康保険証、運転免許証などの身分証も必要となります。

一つの金融機関に1つの口座を持つことでき、金融機関が異なれば、複数の口座をもつことが可能です。つまり金融機関ごとに1口座の開設ができますが、特定口座の扱いがある金融機関の殆どは証券会社で、どの金融機関も特定口座を行なっているわけではありません。

特定口座で扱いができる金融商品は、上場企業の株式(信用取引も可)が主で、他には配当所得に該当する商品が殆どです。未上場株式は対象外ですが、店頭売買登録銘柄や新株予約権社債等の一部、店頭管理銘柄などは特定口座での上場株式の範囲として扱われています。詳しくは口座開設される金融機関で、ご確認下さい。

特定口座は「簡易申告口座」と「源泉徴収口座」のどちらかを選択できます。

簡易申告口座を選択された場合、源泉徴収がありませんので、自己で確定申告をする必要があります。一般口座との違いは、特定口座の場合、口座を開設した金融機関から「特定口座年間取引報告書」という年間取引の損益を計算した書類が送られてくることです。この報告書を利用して確定申告を行うのは、たいへん手間が省けます。一般口座では、通常この報告書の交付義務がありませんから、すべて自分自身で計算をして確定申告をしなければなりませんので、取引数が多いと大変な労力が必要です。

この年間取引報告書は、特定口座を開設した投資家に交付され、その金融機関は同じ報告書を税務署にも提出することが義務付けられています。尚、その年度中に取引がなかった場合には、報告書の交付はありません。

源泉徴収口座がいちばん利便性の高い、納税に関する手間は最小限に抑えられます。納税の手間が省略できることは、確かに魅力ですが、様々なケースがありますので、納税額そのものが安く済むわけではありませんので、どういった課税方法が有利であるかは思案が必要です。

源泉徴収口座では、原則では申告不要になっていますが、これもケースバイケースで、例えば他の口座に株の売り買い等で損失が生じ、損益通算する場合では、やはり確定申告が必要になってきます。

※ 簡易申告口座でも源泉徴収口座でも、他の口座で生じた株式の譲渡損失を損益通算する場合、それが特定口座であれば年間取引報告書の交付によって、各特定口座での取引による損益はわかりますが、それを合算した合計表の作成は、確定申告を行う本人が作成し、申告の際に添付が必要になります。

日本証券業協会、株式譲渡にかかる税金、特定口座→
http://www.jsda.or.jp/manabu/publications/files/zeisei_2-1.pdf#search='%E7%89%B9%E5%AE%9A%E5%8F%A3%E5%BA%A7+%E8%B2%A0%E5%82%B5%E5%88%A9%E5%AD%90+%E5%8F%96%E5%BE%97%E8%B2%BB%E7%AD%89'
楽天証券、特定口座→https://www.rakuten-sec.co.jp/web/service/specific/#specific-01
国税庁、特定口座制度→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1476.htm
国税庁、特定口座内保管上場株式等の譲渡による取得費等の額の計算→
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/020624/sanrin/1273/37_11_3/01.htm

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102