0335 所得税138 給与所得30 年末調整

※内容の一部を2015年11月に改変しています。

サラリーマン等の給与所得者では、扶養控除などの手続きによって、毎月の給料から源泉徴収として所得税が天引きされています。ボーナスがある方は、ボーナスも同様です。給与のみの所得者であれば、つまり、勤めている会社からの給料以外に収入がない場合、この源泉徴収でほぼ所得税の納税は終わっています。ただ、最終的な納税額の調整として、幾つかの控除を確認して過不足を計算し、確定するのです。

源泉徴収は給与所得の他、利子所得や配当所得もありますが、それ以外の所得は殆ど確定申告によって納税額が決定されます。確定申告は2月中〜3月中で行われ、前年の所得を計算して納税します。つまり源泉徴収は年間の所得が確定しないまま、毎月の給料から天引きされますので、言わば納税の前払い的な要素が濃く、年末調整によって1年間の所得の過不足を計算して精算されます。

給与所得者の所得税納税は毎月の源泉徴収により、この源泉徴収税額の計算は「扶養控除等異動申告書」によって、控除される扶養親族をカウントし、源泉徴収税額表から該当する欄(扶養親族の数によって税額が異なる)を確定して収入額に応じて税額表から毎月の源泉徴収税額が決定します。従って、年末調整で会社側から配布、提出を求められる「扶養控除異動申告書」は通常、来年の源泉徴収に使用されるものなので、来年の年号が記されています。 

この扶養控除等申告書ともう一つの用紙は「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申請書」で、所得控除である「生命保険料控除」「地震保険料控除」「配偶者特別控除」が控除され、年の途中で配偶者や親族のカウントに変更がないか等の確認をして再計算します。
特定増改築を含めた住宅借入金等控除(住宅ローン減税、ただし初年度の申告は確定申告のみ)は、税率を乗じた後の税額控除となり、年税額が確定します。
順を追って説明してゆくと次のようになります。

源泉徴収税額>→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131023
サラリーマン等の給与収入の場合では、まず非課税扱いとなる交通費などを差引いた額の収入から「給与所得控除」を差引きます。この控除はサラリーマンの「経費」的な意味の控除で下記のように算出控除額が定められています。
  ( 給与収入額 )                  ( 控除額 )
 ・給与収入が180万円以下・・・・・・・・・・・・・・収入金額×40%
 ・給与収入が180万円超〜360万円以下・・・・・・・・・収入金額×30%+18万円
 ・給与収入が360万円超〜660万円以下・・・・・・・・・収入金額×20%+54万円
 ・給与収入が660万円超〜1000万円以下・・・・・・・・収入金額×10%+120万円
 ・給与収入が1000万円超〜1500万円以下・・・・・・・・収入金額×5%+170万円
 ・給与収入が1500万円超・・・・・・・・・・・・・・・245万円

次に「所得控除」ですが、これは14種類あり「1、雑損控除」「2、医療費控除」「3、社会保険料控除」「4、小規模企業共済」「5、生命保険料控除」「6、地震保険料控除」「7、寄附金控除」「8、障害者控除」「9、寡婦寡夫)控除」「10、勤労学生控除」「11、配偶者控除」「12、扶養控除」「13、配偶者特別控除」「14、基礎控除」です。

毎月の給料から天引きされる源泉徴収では、先に述べた「扶養控除等異動申告書」によって「源泉徴収税額表」から適用される欄の税額が徴収されます。この天引きされた源泉徴収額には「給与所得控除」と「社会保険料控除」「障害者控除」「寡婦控除」「勤労学生控除」「配偶者控除」「扶養控除」「基礎控除」が成された徴収額です。

<年末調整(所得税の算出)>
上記で説明したようにサラリーマン等の給与所得のみの方は源泉徴収によって、毎月の給料から天引きされ、その殆どは課税関係が終了しています。
年末調整では、その年の1月1日〜12月31日までの1年間の給与、賞与を合わせた総収入から計算します。

年末調整の計算は、本来の所得税の算出とほぼ同じ手順で行われ、先に徴収された源泉徴収税額との差額が、過不足の精算となります。
(1)年間の総収入から交通費等の非課税扱いの金額を差引きます。
(2)「上記1の所得金額−給与所得控除額(上記参考)」
(3)上記2の金額から該当する所得控除を差引きます。年末調整の所得控除は前述した1〜14の中で、1、2、7を除き、申告書によって確認できたものを差引きます。
(4)上記3で算出された金額を「年末調整等のための算出所得税額速算表」から求めた金額が「算出年税額」となります。(通常の所得税の総合所得に乗じる税率表と同じです)
(5)住宅ローン減税にあたる「住宅借入金等特別控除額」を4の算出年税額から差引き、その金額が「年税額」となります。
(6)経費にあたる給与所得控除、所得税全体の政策的控除である所得控除、税率を乗じた後に差引く税額控除の3つの控除を終え、「年税額」が算出され、この金額から先に支払っている源泉徴収税額を差引き、この過不足金の精算が年末調整となります。
 多く支払っていると「還付」として返金があり、不足であれば給料からその分を天引きされます。

源泉徴収税額→各種の所得控除についても→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131023
★所得控除の計算手順→所得税の計算手順としても利用できます→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131223
★賃金計算の概要→給与所得全体の仕組み→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
国税庁、年末調整のしかた(平成27年用)→
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2015/01.htm
国税庁、年末調整がよくわかるページ(平成27年用)→
http://www.nta.go.jp/gensen/nencho/index.htm?gclid=Cj0KEQiAyIayBRDo4vjdqJrgxZ0BEiQAhOYCYHLxg0pKutR6jG1ayKY7a4TIdpCKwKG5AFhzGzqNiVUaAiNp8P8HAQ
国税庁、扶養控除等異動申告書の記載例(平成27年用・28年版)→
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/kisairei_h28.pdf
国税庁、保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除の記載例(平成27年用)→
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/kisairei_h27_05.pdf
★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。