0338 所得税140 退職所得1 退職所得金額の計算

退職所得は、会社を退職したときに受取る退職金、一時金などが該当します。また、解雇予告手当や退職した者が受ける未払賃金の受取についても退職所得扱いとされています。
退職所得は、勤め先から長期に渡り労働を提供した対価であり、今後の生活に対する資金確保の意味を持っているため、課税は他の所得より比較的低く、分離課税として源泉徴収されます。 

(1)退職手当など・・・・・・退職手当、一時恩給、退職により一時に受ける給与の性質を有する金銭。
(2)みなし退職手当など・・・国民年金や厚生年金、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済等の規定に基づいて支払われる一時金。また、厚生年金基金確定給付企業年金確定拠出年金、特定退職金共済団体、適格退職年金契約等から規定に基づいて支払われる一時金。
(3)労働基準法第20条の規定に基づいて支払われる解雇予告手当
(4)退職した労働者が弁済を受ける未払賃金。

退職所得の課税は「退職所得の受給に関する申告書」によって源泉徴収されます。尚、この申告書の提出がなかった場合は、控除はされず一律に20%の源泉徴収となるため、確定申告をしなければ、過払い分を取り戻すことができません。
退職所得の計算は次のようになります。
「退職所得金額」=「(収入−退職所得控除額)×50%」
退職所得控除額は、勤続年数によって異なります。
勤続が20年以下の場合・・・「勤続年数×40万円(最低80万円)」
勤続が20年超えの場合・・・「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」
ただし障害者となったことで退職した場合には、上記の計算金額+100万円の控除となります。

※勤続年数の端数、何年何ヶ月となる場合は切上げで計算します。例えば、22年3ヶ月は23年で計算します。
★勤続年数の計算→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20140117
次に、上記の規定に従って算出された「退職所得金額」に税率を乗じて源泉徴収税額を出します。この計算は「所得税額の速算表」から導き出します。計算順序は左側からで「所得金額×税率−控除額」です。
<課税される所得金額>          <税率>         <控除額>
・195万円以下・・・・・・・・・・・・・・・・5%・・・・・・・・・・・・・0円
・195万円超〜330万円以下・・・・・・・・・・10%・・・・・・・・・・97,500円
・330万円超〜695万円以下・・・・・・・・・・20%・・・・・・・・・427,500円
・695万円超〜900万円以下・・・・・・・・・・23%・・・・・・・・・636,000円
・900万円超〜1,800万円以下・・・・・・・・・33%・・・・・・・・1,536,000円
・1,800万円超〜・・・・・・・・・・・・・・・40%・・・・・・・・2,796,000円
※算出した税額の100円未満の端数は切捨てます。

上記の算出は一般退職で、平成25年以後の退職金等が特定役員に該当する場合は、収入から退職所得控除をした残額に50%を乗じた措置は廃止されています。つまり、特定役員の場合は「退職所得金額=収入−所得控除」となります。
役員とは、法人税法第2条第15号の規定で取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人、法人の経営に従事している一定の者、となっています。

また、役員としての勤続年数が5年以下で、役員の勤続年数に対応して支払いを受けるもの、とされています。

確定給付企業年金、適格退職者年金で加入者が負担した金額は収入から、その負担額を差引きます。つなり、「収入金額=退職一時金−加入者が負担した金額」となります。
退職一時金の金額

国税庁、退職所得→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1420.htm
国税庁、退職金に対する源泉徴収http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2732.htm
国税庁源泉徴収のための退職所得控除額の表(平成25年分)→
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2012/data/04.pdf
国税庁、特定役員の範囲→
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/020404-2/01/1_4_7.htm
★給与計算と所得税http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131229
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