0339 所得税141 退職所得2 勤続年数の計算

退職所得金額や課税額を算出するときに、勤続年数が重要な鍵となりますが、この勤続年数に関しても、課税上の計算でルールがあります。
(1)まず、年数で1年に満たない端数は切り上げて算出します。21年2ヶ月なら22年となります。
(2)会社の就業規則等で、退職手当等の計算によって換算された勤続期間と実際に勤務した期間が異なる場合は、実際に勤務した勤続期間で計算します。例えば、試用期間などの期間を一定率によって勤務期間を算出する場合などが該当します。
(3)病気などによる長期欠勤や休職期間も勤続年数に含みます。
(4)源泉徴収で日額表丙欄の適用があった期間は勤続年数から除外します。
(5)例えば、勤続期間の途中で子会社などに派遣され、その期間も退職所得手当の支払い基礎年数に含まれる場合は、課税上の計算も勤続年数に含みます。

上記の規定により算出しますが、2箇所から退職手当等の支給がある場合、少し計算が複雑になってきます。具体例を上げて計算してみましょう。
例えば、親会社に12年5ヶ月勤務して、その後22年2ヶ月を子会社に勤務した場合を考えてみます。

親会社と子会社との通算勤務年数は「12年5ヶ月+22年2ヶ月」なので勤続年数は35年となります。このとき、退職金の支給を最後に勤めた子会社のみで受取る場合は35年で計算すればよいのですが、親会社を退職して、その時点で1度退職金を受取り、子会社退職時に再度退職金を受取るような場合、つまり親会社と子会社と個別に退職金を受取り、しかし、子会社での退職金の計算期間が通算で基礎とされているケースでは次のようになります。(控除計算は前回ブログを参考に→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20140115 )
子会社では「退職所得控除額」=「800万円+70万円×(35年−20年)」=1850万円
親会社では「退職所得控除額」=「12年×40万円」=480万円(この場合1年未満の端数は切捨て計算となります。
1850万円−480万円=1370万円が子会社での退職金で退職所得控除される金額となります。

今度は同じ年に親会社と子会社と2つの退職金を受取り、勤続年数の基礎となる期間が重複しているようなケースを考えます。このような場合は個別に所得額を算出して、その後に差引きます。
例えば、親会社で34年3ヶ月、その後に子会社で5年8ヶ月勤めて退職となり、そのうち4年2ヶ月が親会社と重複している期間がある場合では次のようになります。(親会社の退職金規定の範囲で「退職所得の受給に関する申告書」を子会社に提出したような場合)
尚、親会社での退職金は2500万円で子会社の退職金が800万円とします。
親会社の退職所得控除額=800+70×(35−20)=1850万円
親会社での退職所得課税額=(2500−1850)×50%=325万円
子会社での勤続年数の算出は4年2ヶ月が重複していますから、重複していない期間は1年6ヶ月となります。従って34年3ヶ月+1年6ヶ月=36年となります。
子会社での退職所得控除額=800+70×(36−20)=1920万円
子会社での退職所得課税額は、(2500+800−1920)×50%=690万円となり、690万円−325万円=365万円が課税対象額となります。

上記の計算は様々なケースが考えられる一部の紹介です。しかし、源泉徴収税額の算出なので、退職金を受取るときには、既に計算された金額です。

国税庁、退職所得関係→http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/04/04.htm
★給与計算と所得税http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131229
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