0322 所得税125 所得控除1 雑損控除

所得税を算出する祭に、企業会計で言う「費用処理」にあたるもの、つまり「収入−費用=収益」として、課税はこの収益に対して計算されます。所得控除とは、この場合の費用と認められる規定で、雑損控除は主に、災害、盗難、横領による損失を言います。

サラリーマンやアルバイト、パートタイマーなどの所得税(給与所得)では、一般的に毎月受取る給料から源泉徴収され、年末調整によって1年間の課税関係が清算され、納税額が確定します。

これは通常、勤め先の会社や事業主が源泉徴収義務者として、従業員の課税計算を行い、年末調整で過不足修正され納税となるこの納税制度(源泉徴収制度)は所得税全体から見ると、利子所得、配当所得、給与所得などの一部の収入を対象とした制度であるため、源泉徴収と年末調整の一連の手続きで処理できない課税関係は、個人的に手続きを経て「確定申告」によって最終的に清算されることになります。

雑損控除はその性質から、毎年定期的に起こるような事象でなく、個人的な特別な事情にあたるため、源泉徴収や年末調整で処理されることはありません。従って、確定申告の手続きを各個人が行って、そこで初めて控除が認められることになります。

認められる要件は次のようになります。
<対象となる損失>
災害、盗難、横領によるもの。災害は地震や台風、竜巻等の自然災害、あるいは火災等の人的災害も含みます。また害虫などによる資産の損失も該当します。

<対象となる資産の範囲>
納税者本人、または配偶者と親族で、納税者本人と生計を共にしていること。ただし、配偶者や親族の資産損失では、その者の所得が38万円以下であること。
また、資産の内容については日常必要とされる資産、例えば、生活をしている住宅やその設備、家具や衣類などで、別荘や宝石、貴金属等の一般的な生活上で必要とは言えない資産で、1個あたりの価額が30万円を超える物は対象外となります。

<控除金額の計算>
A :  「差引損失額 − (総所得金額×10%)」
B :  「差引損失額の災害関連出額 − 5万円」
上記、AかBのどちらか多い方が控除として適用されます。
差引損失額とは、損害金額(時価)と災害関連支出額を足した金額から保険金等の補填された金額を差引いた額です。
災害関連出額とは、滅失した家屋や家財等の取壊しや除去に係った費用のことです。
 
雑損控除は確定申告によって控除が認められ、その分の還付を受けることが可能となりますが、手続きには損失に関する支出等を証明する領収書が必要とされます。また、給与所得の方は源泉徴収票の添付も必要です。

損失額が大きな場合は、翌年以後3年間に渡り、手続きによって所得から控除が可能(繰越控除)となります。

国税庁、雑損控除→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1110.htm
★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
源泉徴収税額→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20131023
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