0209 所得税19 配当所得4 源泉徴収口座

特定口座で源泉徴収口座を選択、手続きれた場合、その口座には上場会社株式や投資信託の売り買いで生じた利益、損失、それから配当や分配金が、その口座の主な取引内容となってきます。特定口座で源泉徴収口座を選択するには「特定口座源泉徴収選択届出書」を口座開設する金融機関に提出する必要があります。

上場株式等の売買いで生じた利益は、所得分類でいえば譲渡所得に該当します。譲渡所得では通常、源泉徴収されませんが、この特定口座で源泉徴収口座を選択すれば、口座内で清算され源泉徴収によって申告不要となります。つまり株の売却益は、決済されて口座に現金として戻る時に、10%(現行では平成25年末まで)の課税を徴収されて完結します。このようなことが税法上の特例として、手続き上の優遇であるわけです。

源泉徴収口座内での株式譲渡益は、利益があると源泉徴収された額が支払われ、逆に損失があった場合は、既に源泉徴収された税額を戻す(還付)ことによって損益通算されます。この時、先に譲渡益から源泉徴収された分がなく、損失のみであれば課税はされず、同じ口座内で、後に譲渡益が生じた場合に相殺されます。

特定口座は一つの金融機関に1口座しか開設できませんから、一般口座や他の金融機関に特定口座を持っていて、その口座と合算して損益通算を行う場合は、確定申告によって通算が可能です。

源泉徴収口座は原則、申告不要という源泉分離課税のような制度ではありますが、結局、複数の口座で損益通算をした方が有利であれば、確定申告によって実現することになるのです。

株式における譲渡所得の計算は、{株式等の譲渡による総収益 − (株式等の取得費用  + 譲渡にかかる費用 + 借入金の利子)}となります。この算出式の中の取得費用と譲渡にかかる費用とは、株等の売り買い時に生じる金融機関の手数料のことで、これは通常、株の売り買い時には手数料を含めた計算をされますから、株式を売って得た利益、つまり譲渡益金には手数料が差し引かれた額になっています。しかし、借入金の利子については確定申告によって認められるため、申告分離課税か総合課税を選択する必要があります。

また、株式譲渡による損失を配当金で相殺する場合、これもまた、口座開設をした金融機関に「源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書」の提出が必要とされています。これによって源泉徴収口座内で1年間の株式等の譲渡損失を、最終的には配当金で相殺することができ、その上で利益があれば源泉徴収されます。

株式等の売り買いで大きな損失を出した場合、その損失出した次年度から3年間に渡り、損益通算の繰り越しができます。損失を向こう3年連続して譲渡益や配当から相殺できるわけですが、これもまた確定申告が必要です。
※負債利子を差し引く条件や、その計算については、かなり細かいルールがあり、その計算も単純とは言えません。

まず借金をして取得した、その株式銘柄のみが対象となり、取得した月を含めた、その年末までの期間、あるいは譲渡した期間までが対象となります。つまり保有期間が負債利子を控除できる計算上の期間となります。

これだけでは単純なルールに過ぎませんが、実際には様々なケースがあります。まず借金をして、その銘柄を買ったといういくつかの証明が必要ですし、証明ができなかった場合の計算方法が他に用意されています。株式の譲渡から差し引くのか、配当から差し引くのかの問題もあります。一般には課税される年中に譲渡すれば、譲渡利益から差し引きます。しかし同じ年中に譲渡して、その譲渡した資金でまた新たに株を購入し保有し、その保有に対して配当があった場合、負債利子の費用として控除する計算はどのようになるのか。また配当が無配当であったとき、他に配当があればそこから負債利子の期間費用は控除できますが、他の配当も無配当であったならどうなるのか。逆に負債、つまり借金の借り換えをして利子率が変わったときどうなるのか。そもそも毎月、その負債元本を返済していると利子率が同じでも利子額は毎月変化します。

このように現実には、様々なことが想定され、負債利子を費用として処理し、節税することは容易とは言えず、口座開設した金融機関や専門家に確認する必要がありそうです。参考になるホームページは、国税庁の「所得税基本通達、法第24条、配当所得関係」が、配当所得の負債利子控除について記されています。

※ 負債利子の控除は、源泉徴収口座を選択した場合、控除できません。

★当ブログ0208、特定口座について→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20121007
SMBC日興証券、特定口座、源泉徴収口座→https://www.smbcnikko.co.jp/service/account/tokutei/index.html
国税庁、特定口座制度→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1476.htm
日本証券業協会、株式譲渡にかかる税金、特定口座→
http://www.jsda.or.jp/manabu/publications/files/zeisei_2-1.pdf#search='%E7%89%B9%E5%AE%9A%E5%8F%A3%E5%BA%A7+%E8%B2%A0%E5%82%B5%E5%88%A9%E5%AD%90+%E5%8F%96%E5%BE%97%E8%B2%BB%E7%AD%89'

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