0266 所得税71 譲渡所得1 譲渡について

譲渡所得は資産の譲渡(売買い、交換等ほか)によって得られる所得(差益)のことで、固定資産だけに限らず、あらゆる資産が対象になります。従って、資産譲渡における課税関係は、その資産の性質によって異なる背景、そこにある法的事由を理解する必要が生じてきます。

譲渡所得に出てくる資産の代表的なものは「土地、建物」と「株式など」ですが、この2種類の資産、不動産関連の法律、株式の保有や売買いに関する法律だけでも、うんざりするほど数多く存在します。加えて、譲渡における課税関係の特例や算出規定も泣くほど出てきます。なので、譲渡所得をお勉強する範囲は、ごく基礎的なものに留まります。

さて、譲渡所得の「資産譲渡による所得」とは、どうのような意味を指すのか?そこを理解する必要があります。

所得税は、その所得の性質によって10種に区分されています。現在このブログでは利子、配当、不動産、山林、事業の5種類が済み、譲渡は6種類目になります。しかし、どの所得の科目をとっても区分される税法上の明確な規定、例えば「この要件を満たすと利子所得に該当します」等の条文はありません。従って、それぞれの所得に該当する一定の条件は、課税関係から大よその性質を読取ることになります。

「利子所得」では、金銭を金融機関等に預けて得られる利息収入で、配当との違いは出資ではないということ。元本割れが生じないこと。

「配当所得」は、株式等の投資、出資にあたる資金提供により得られる報酬で、配当とされる収入は出資先企業の本業から生じた利益分配にあたります。企業の本業利益からの分配でない場合は、計算上で出資金の払戻しにあたる額を超えた部分が配当とみなされ、課税されます。

「不動産所得」は、不動産上に有する権利の貸付による収入で、土地や建物による賃貸収入が主とされています。ただし、不動産の貸付による収入すべてが原則「不動産所得」としながらも、個人の資産活用を超える事業規模(独立した貸付部屋が10室以上、もしくは独立した家屋が5棟以上)であれば事業所得となり、法人として運営する場合には法人税として課税されます。

「山林所得」は通常、山林の伐採による譲渡収入で、伐採しないで土地ごと譲渡した場合は、その土地の上にある山林部分が山林所得となり、土地そのものは譲渡所得に該当します。また、保有期間が5年以下であれば事業所得もしくは雑所得になる場合もあります。尚、どういった要件で「山林」に該当するのかは明確な基準がありません。庭木、果樹は含まず、立木の集団とされています。

「事業所得」は、その収入が発生した行為による区分ではなく、収入を得る側の立場や規模によるものなので、事業所得は退職所得、給与所得、一時所得以外のそれぞれの所得区分と隣接しています。従って、他の所得との区分は「事業」としての収益であるかどうかが問われます。利子所得と配当所得は原則、源泉徴収されますから事業所得として計上しません。残りの不動産所得、山林所得、譲渡所得、雑所得が、それぞれのケースに対する基準によって、事業所得として該当するのかを判定します。
税法上の「事業」として認める基準は当ブログ0221事業所得の範囲→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20121117を参考にして下さい

さて、譲渡所得として課税される範囲、これを考え、ある程度の理解をする必要ができます。

この「譲渡」とは単に「資産を譲り渡す」なので、税法上で資産の種類を限定しているわけではありません。こうなると全ての取引が譲渡として成り立ちます。電気店で買ったパソコン、そのパソコンが問屋から電気店に引渡すことも譲渡です。子どもたちへのプレゼント、愛人に買ってやるマンション、土地の売買いや相続も譲渡には変わりありません。つまり、あらゆる資産が対象となる上で、様々なケースによって条件を設け、その場合は譲渡所得として除外、もしくは通常と異なる算出で課税するわけです。

次回に、この譲渡所得による「譲渡」の範囲を考えてゆきましょう。

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。

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★上記の本の感想は当ブログ0260で読めます→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130406