0267 所得税72 譲渡所得2 贈与にあたる場合1

「譲渡」の意味が様々な資産を譲り渡すことであるなら、次のような場合も当然「譲渡」として成り立ちます。
(A) 息子の誕生日に3万円相当の自転車を買ってあげた。
(B) 妻の誕生日に50万円相当の金のネックレスをプレゼントした。
(C) 結婚の約束をした相手に給料の3ヶ月分にあたる80万円の婚約指輪をプレゼントした。
(D) 金持ちおじさんが愛人に3,000万円相当の新築マンションを買ってあげた。
(E) 金持ちおじさんが亡くなり、死亡保険金を愛人が受取った。

上記は、自転車や指輪、マンションなどの「物の譲渡」、あるいは保険金のように被保険者が死亡すると保険金を受取る契約「ある種の権利の譲渡」、どちらにしても結果的には相当の資産が譲渡されるわけですから、譲渡所得として何らかの課税が発生するのではないか?

確かに、上記(A)〜(E)は譲渡に違いありませんが、タダでモノを譲っているので正確に言うなら「無償譲渡」にあたります。この場合、譲渡所得としてではなく贈与税として課税が生じる可能性が出てきます。

さて、ここで幾つかの疑問が生じてきます。
イ): 例えば(A)は、父から息子に自転車をプレゼントしてときは無償譲渡で贈与にあたりますが、自転車屋さんから自転車を購入したときは有償の譲渡であると言えます。

ロ): 息子にあげた自転車の贈与と、愛人に買ったマンションの贈与を同じ、贈与として扱うのは適当かどうか。

ハ): 資産をあげた者、資産を受取った者、課税される場合はどちらに課税され、納税が生じるのか?


上記(イ)について
通常、販売店等から購入する商品は、販売店が持つ商品は資産の区分でいうと「棚卸資産」に該当します。棚卸資産を譲渡しても譲渡所得としては課税対象にならず、事業所得または雑所得として課税されます。
個人が無償で資産を取得した場合、相続や遺贈であれば「相続税」、個人からの贈与は「贈与税」、法人からの贈与であれば「所得税」として区分されています。

相続税では死亡した方の財産を相続人が相続するときに、相続税として課税されます。この相続税を免れるため、生きているときに相続人に財産を移すと相続税として課税できなくなります。これでは資産譲渡の課税関係が不公平となるので、生きている間の財産転移は「贈与税」として課税します。従って、贈与税相続税を補完する課税制度とされています。

贈与税としての贈与は、無償譲渡のみに限定しているわけではありません。例えば、時価1,000万円の資産価値があるものを300万円で譲渡しても、差額の700万円は贈与税として課税されます。また、親子でありながら法的な手続きを経て、その財産の売買い契約を行ったとしても、実質的な贈与とみなされれば贈与税として課税されます。

贈与税の納付は、申告納税ですので1年間(1月1日〜12月31日まで)の贈与の総額を手続きによって申告します。このとき贈与税(暦年課税)では110万円の基礎控除額がありますから、年間贈与の合計額が110万円以下であれば納税はありません。

贈与税の場合、例えば個人事業等の営業債権や営業権等の資産も対象になる一方、社交上の香典や贈答品については非課税とされています。この社交上とされる物の中には、お祝いや見舞いに関する贈り物等も含まれ、社交上とされる範囲には、贈与者と受贈者との関係性が問われます。
これによると、上記(C)(B)で、1月に婚約して婚約指輪80万円相当を贈り、4月に結婚して、8月に妻の誕生日の際に50万円相当のネックレスを贈ったとき、その年の贈与にあたる金額は80+50=130万円で贈与税の課税対象にあたる金額ですが、婚約指輪80万円は社会通念上の「社交上の贈り物」に相当する可能性が高いので、認められれば非課税となります。

参考までに、贈与税として課税される財産の範囲は以下のようになります。
(1) 信託契約による受益権の変更など。
(2) 他人が保険料を負担した生命保険金。
(3) 他人が掛金を負担した定期預金。
(4) 時価と比べて著しく低い価額で譲渡した財産。
(5) 債務の免除、引受など。
(6) 同族会社にたいする財産の無償提供。
(7) 同族会社の新株引当権の割当て。
(8) 共有持分の放棄。
(9) 共働き夫婦間の住宅資金。
(10) 特別な法人(公益目的の事業)から受ける利益など。
国税庁贈与税がかかる場合→https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4402.htm


また、贈与税の非課税とさる財産は以下のとおりです。
(11)法人から贈与された財産。
(12)扶養義務者による生活費や教育費など。
(13)社交上の香典や贈答品など。
(14)相続があった年に被相続人から贈与を受けた財産。(相続税として課税されます)
(15)選挙候補者が贈与を受けた金品。
(16)公益事業用の財産。
(17)特定公益信託から交付された金品。
(18)特別障害者が受けた信託受益権。
(19)心身障害者共済制度にもとずく給付金の受給権。
国税庁贈与税がかからない場合→https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4405.htm

尚、上記の(ロ)(ハ)については次回に!

TKC全国会贈与税について→http://www.souzoku.tkcnf.or.jp/tax02.html
国税庁相続税贈与税目次一覧→http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/01.htm#14

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102

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