0212 所得税22 配当所得7 通常の配当所得

ここで、当ブログ0206、配当所得1、配当所得の範囲で記載した「配当所得に該当する配当」をもう少し詳しく見てゆきましょう。尚、企業の利益に関する解説は、前回のブログ0211を参考にして下さい。

まず、「(1)剰余金の配当」ですが、これは株式会社の普通の配当を指しています。特定目的信託も同様に記されている本もありますが、この信託は受益証券(有価証券扱い)を投資家は保有することになります。株式の配当にあたるものが収益分配金と呼ばれるもので、不動産や金銭債券等の運営、運用から生じた利益を投資家に還元するものです。

「(2)利益の配当」、どうして(1)の剰余金の配当と同じ意味であるのに分けて記載してあるのか?この「利益の配当」は株式会社でない持分会社とされています。
持分会社とは、会社法上で株式会社でない法人で、合名会社、合資会社合同会社の形態の法人を指します。株式会社の場合は企業内部の構成員以外も株式の購入(出資)ができますが、持分会社の出資は社員に限られています。従って、出資者は会社を運営する社員のみで構成され、出資者に対する利益の分配が「配当」にあたる解釈になります。

「(3)剰余金の分配」、今度は「配当」でなく「分配」と記されています。これは協同組合等の組織形態を対象にしています。協同組合も通常は、出資する者が組合員として構成されます(例外もあります)。協同組合の設立は、株式会社等と違って「営利」ではなく「相互扶助」が目的とされています。従って、社会における組織の存在意義は株式会社と違ってきますが、会計処理については株式会社の会計と同様な部分も多く、出資と利益については会計上分離され一定の規制もあります。ここで言う剰余金の分配は、株式会社が利益処分として配当を行うケースと同様な性質と言えます。尚、協同組合は法人税法上では「法人」扱いとなります。
 
「(4)基金利息」は、相互保険会社の基金による利息、そう限定されています。相互会社も設立目的が「営利」でなく「相互扶助」とされ、社会的な役割は協同組合の企業版ともいえますが、実態は疑問視されることも多く、以前は株式会社から相互会社の変更のみ可能でしたが、法改正があり相互会社から株式会社の変更も可能となりました。以降、保険会社も少しずつ株式会社化が増えていっています。
相互会社の場合、この基金が株式会社でいう「資本」にあたります。ただ、基金を募集する時に、元本の償還と一定期間に対する利息を約束していますので、その意味では「利子所得」と同等なのですが、資金提供者のお金は「預ける」ではなく「出資」にあたるため配当所得として扱われているようです。

「(5)投資信託の収益の分配」は、まず公社債投資信託と公募公社債等運用投資信託は利子所得に該当するため、配当所得では除外となっています。一定額を一定の期間運用(ユニット型)する投資信託が殆どで、投資家の請求によって解約や払い戻しが自由に行われる信託は基本的に対象外とさています。また信託財産の元本の払い戻しに相当する部分の分配は非課税扱いです。

「(6)特定受益証券発行信託による収益の分配」、この信託は信託法による受益証券発行信託の中で、法人税法で規定されている信託で、税務署長の承認を受けた受託者に限られ(他にも幾つかの条件があります)、受託者に法人税が課された後、受益者にも配当所得として課税される信託です。

配当所得における通常の「配当」とは企業の利益剰余金にあたる資金、つまり本業で稼いだ利益からの分配が基本になっています。

日本証券業協会、配当金と税金→http://www.jsda.or.jp/manabu/publications/files/zeisei_2-3.pdf

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