0213 所得税23 配当所得8 みなし配当

「当ブログ0206配当所得の範囲」で、みなし配当に該当する所得について、もう少し詳しく見てゆきましょう!

「(7)合併(適格合併を除く)」。合併とは、複数の会社または事業(組織)が一つになることです。※合併には様々な形態の合併がありますが、ここではその種類や内容については省略させて頂きます。

通常の合併(非適格)では消滅する会社(消滅会社)の資産は、その消滅会社を引き継ぐ(承継会社)が事実上、買い取るような形(譲渡)になります。消滅会社はこの時、清算されることになり、資産は時価(評価額)から簿価(帳簿に記録された価額)を差引いた額の増加(もしくは減少)が発生します。これが課税の対象とされる根拠となります。

この合併によって純資産の増加が生じ、株主に金銭等を交付した場合、資本金等の増加に対する部分の分配は譲渡所得とされ、それ以外の分配については利益的な分配とみなされて配当所得に該当します。この認識は合併のみに限らず、みなし配当すべてに共通します。

つまり、みなし配当の考え方は、通常の配当所得が言う「配当」と変わりません。利益が生じる基が本業で獲得した利益であるのか、資本取引から生じた利益であるのかの違いで、結果的には利益の分配なのです。ただ、会社法の規定と所得税法の規定が異なるため、企業側で決定する配当を株主側から課税することで、配当の認識範囲が複雑になってくると言えます。

「(8)分割型分割」。会社を分割する場合も幾つもの方法が存在しますが、分割によって必ずしも、株主に金銭等の交付が成されるわけではありませんが、この分割型分割では一定の条件の上、株主に対して金銭等の交付があります。
※みなし配当が生じる場合の合併や分割において、適格合併および適格分割型分割は除外されると記されています。この「適格」は法人税法で規定され、多くの条件があり、税制上の扱いも非適格と異なってきます。適格の場合は簿価での計算が認められるので、計算上、評価額からの差益は出ないとされています。つまり、配当に該当する金銭等の交付はありません。

「(9)資本の払い戻し、解散による残余財産の分配」「(10)自己株式または出資の取得」「(11)出資の消却、払い戻し等」「(12)組織変更(株式または出資以外の資産を交付したもの)」。
上記4つの資本取引も企業側の会計処理については、似た形で手続きがなされます。従って、みなし配当の考え方は何れも同様な理解で問題ありません。

「みなし配当の額 = 金銭等の交付された額 − 資本金等の額」
みなし配当の計算は通常、一株あたりで算出されます。
例えば、交付された額が200円で、株式の取得額が120円で、資本金等からなる額が150円であった場合、「200円 = 120円 + 30円(150−120) + 50円(200−150)」で、30円が譲渡所得に該当し、50円が配当所得に該当します。