0225 所得税35 事業所得5 青色申告の承認

前回にも記しましたが、青色申告の制度を利用できる方は「不動産所得」「事業所得」「山林所得」がある方のみ対象となります。メリットは、その特典を利用することによって節税ができるようになるのです。

しかし「青色申告の特典」を利用するには、事前に申請手続きが必要です。「青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出し、税務署長の承認を受けなくてはなりません。

この承認手続きの期限については、通常は3月15日まで、例えば2012年度の事業所得は2013年の2月16日〜3月15日までに確定申告を行いますので、2012年の事業所得を青色申告で受理されるには、予め2012年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。

3月15日という期限から、去年度の所得を確定申告(白色)する時に同時に青色申告承認申請書を提出する場合が多いようです。しかし承認されるには、青色申告承認申請書のほか「個人事業開廃業等届出書」の提出も必要です。

新規開業の場合は、その年の1月16日以後に事業開始日から2ヶ月以内とされています。また11月1日以後に事業開始をされて、これらの手続きを行った場合は、承認または却下の通知がこない限り青色申告が可能とされています。

また事業主が亡くなり、相続人が事業を承継して青色申告を行う場合、事業主の死亡が1月1日〜8月31日であるなら、その死亡日から4ヶ月以内。死亡日が9月1日〜10月31日であれば、その年の12月31日まで。11月1日〜12月31日では翌年の2月15日までとされています。

青色申告では会計記録、事業での取引内容を帳簿書類に正確に記録し、保存することを約束しなければなりません。この帳簿の記録には「日商簿記3級」程度の知識が必要になります。簿記がどのような規則で手続きされるのか、全く知識のない方、初心者の方は、ある程度の知識を身につけないと記録そのものができませんので、この際、簿記3級の参考書等で勉強することをお勧めします。帳簿記録の知識さえ身に付けば、簿記試験の受験は必要ありません。

青色申告の提出には、正規簿記の原則に従って記録された帳簿書類による決算書(貸借対照表損益計算書)の添付が定めたられています。「正規簿記の原則」とは前述したように、会計規則に従い、公正かつ正確な帳簿記録を行い、その帳簿記録を基に「貸借対照表」と「損益計算書」を作成します。

正規簿記のほかには「簡易帳簿」での記録も認められています。この簡易帳簿で必要とされている帳簿組織は5つで次のようなものです。
(1)現金出納帳・・・・・・・現金の入出金の記録。
(2)売掛金・・・・・・・・・主要な取引先等で販売やサービスの提供は行ったが、入金は後日指定日という「ツケ」の売上状態。
(3)買掛金・・・・・・・・・主要な取引先等で仕入れやサービスの提供は受けたが支払いは後日指定日という「ツケ」で購入した状態。
(4)経費明細書・・・・・・・給与や賞与、消耗品や光熱費、様々な費用の発生を記録したもの。
(5)固定資産台帳・・・・・・固定資産の取得価額や売却価額、耐用年数による減価償却等の記録。

正規簿記や簡易帳簿は取引が発生した時点での記録「発生主義」による会計ですが、青色申告では現金主義による記録も認められています。現金主義での帳簿類は「現金出納帳」と「固定資産台帳」のみが備付帳簿とされています。現金主義は特例にあたり、選択できる規模は前々年分の不動産所得と事業所得の合計額が300万円以下に限られています。加えて届出で承認される必要があり、現金主義が認められると、発生主義による会計が有利であったとしても認められません。

青色申告による、記録した帳簿類の保存期間は帳簿、決算書類に関するものは7年。そしてそれらの取引を裏付ける現金および預金に関わる書類(領収書や預金通帳、小切手など)も7年。その他の書類(納品書や請求書、見積書など)は5年とされています。
白色申告では現金及び預金に関する書類の保存期間が5年で、ほかは青色と同様です。

また会計ソフトなどを利用した帳簿の作成では、電子データによる保存も可能です。ただし、予め管轄の税務署に申請書を提出し、税務署長の承認が必要とされ、記録したデータ入力は訂正によって変更されても、確認できるシステムである等の一定の要件を満たす必要も生じます。

国税庁青色申告承認申請手続→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
国税庁青色申告の取りやめの手続→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200008.htm

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