0228 所得税38 事業所得8 必要経費の計上時期

事業所得に限らず、不動産所得、山林所得、雑所得の所得計算は「総収入 − 必要経費」が基本的な所得計算になります。
必要経費は大きく分けると「売上原価」と「販売費、一般管理費」とに分かれます。
売上原価とは、商品を売上げたときの直接的な費用で、例えば小売店であれば、販売する商品の仕入代が原価にあたり、製造業であれば完成品までに係る製造費用が原価にあたります。

販売費、一般管理費とは、簡単に言えば「売上原価」以外の費用すべてが該当します。例えば販売費では、商品を渡す時に包装や袋に入れたり、運搬や設置を行ったり、販売促進や広告等、様々なものに費用がかかります。一般管理費では事業の運営を間接的に支える部門の費用、経理や総務、人事など、他には保険料や福利厚生費などがあります。

では、人件費や事務所の賃料、光熱費や通信費などはどちらに計上すべきか?については一般的には販売に関わる人員、テナント料、店舗の通信光熱費等は、販売費に計上することが必然で、販売に直接関係を持たない部門の費用は一般管理費で計上します。

製造業における原価計算では、その算出精度にもよりますが、製品の原材料や組立、加工にかかる工賃、特許料等は直接経費として賦課し、その他の様々な経費、賃借料、保険料、光熱費、通信費、労務費、減価償却費などは間接経費として配賦し、殆どの費用が製造原価の中に算入されます。

※製造原価の費用算入については、所得税法上で「算入しないことができる」費用が一部、規定されています。

所得税におけるこれら必要経費の計算記録は、原則「債務確定主義」による計上、現金や小切手あるいは手形等で支払いを済ませた日ではなく、債務の確定した時期に計上します。従って、年度末にあたる12月31日内であるのか、来年に計上すべき経費であるのかについては注意が必要です。

債務の確定とは、注文した商品の納品や受取が完了している事実、または役務の提供を受けた等の事実が発生し、その事実に対して一定の期日までに支払う債務が生じ、その債務には金額が確定していること、となります。
所得税の対象期間は1月1日〜12月31日までなので、上記の条件を満たしていると、実際の支払が翌年であっても費用の計上が必要になります。

減価償却費や引当金などの「費用額を見積る」という性質の計上は、債務確定主義とは別の算出基準として計算します。また、未払金の処理についても、費用がいつ発生したのか?が問題となりますが、詳しくは別の項で取り上げます。

国税庁、やさしい必要経費の知識→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2210.htm

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