0234 所得税42 事業所得12 青色事業専従者給与

個人事業といっても、実際に何から何まで一人で仕事を行っているのは少数派と言えるでしょう。もちろん従業員がいれば毎月、その給料を支払って全額経費として算入できますが、これはあくまでも「他人」である場合です。

通常は仕事を一人でこなしていても、手が足りない時に、ちょっとだけ奥さんに手伝ってもらったり、身内の誰かに頼みごとをしたり、あるいは日常的に他の従業員と変わらず、奥さんがずっと事業を手伝っているかも知れません。

所得税法では、この身内の事業内仕事において、給料が発生する場合の規定を設けています。

いちばん多いパターンは事業内で事業主の奧さんや子どもたち、家族が手伝っていて、その労働の対価として給料を支払う場合です。例えば、奧さんと一緒に飲食店経営をしたケースでは、同一生計者が同一収入の獲得に、二人を要したに過ぎませんが、奧さんに給料として対価を渡した場合、このような経費はどう扱われるのでしょう?

通常、生計を共にする親族(15歳以上)が事業に専従して給与を支払う場合、いくら支払っても経費の計上できる上限は、一人につき50万円までで配偶者のみ86万円まで算入が認められています。

※ 「同一生計者」「生計を共にする」の意味は同じ世帯に住み、生活における収入や支出も共にされている親族です。
※ 「専従」という用語を使用しています。上記の通り生計を共にする15歳以上の親族である前提は変わりませんが、事業の「従事」ではなく「専従」という意味は、その事業のみに専念して従事することに近い解釈になります。所得税法施行令によると、次のような者に該当する場合は、専従者として認められていません。通常は年間6ヶ月を超える期間の従事が必要です。(1)高校や大学、専門学校等に通う学生である者。ただし、これは「本業が学生」であるケースで夜学など学生は該当しません。(2)事業に従事していても、他に職業を持つ者。これも事業に従事した時間がどの程度かにもよりますが、簡単に言えば「本業」が事業従事でない者が該当します。(3)障害や疾病等により、事業に従事しても事実上の業務遂行が著しく困難である者。

青色申告の事業主には、この生計を共にする親族(青色事業専従者)に対し、給与として支払う経費算入の扱いが優遇されています。
青色事業専従者も「専従者」に該当する条件は上記と同様ですが、給与として支払う費用の算入は全額計上が認められています。ただし、常識の範囲内の給与であり、専従者の労働の対価として妥当と思われる金額で、この適正額を超えると、その超えた分にあたる金額は否認され、必要経費不算入とされます。

この青色申告による専従者給与は、事業上の節税に大きく役立ちます。しかし、勝手に適当、と言うわけにはいきません。

青色事業専従者の給与は「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。この届出書には仕事内容や支給額、賞与があれば賞与の額、それらの支給時期などの記載事項があります。

提出期日は、その適用を受ける年の3月15日までです。1月16日以降に事業を開始した場合や、新しい専従者に適用を受ける場合は、開始または専従者が従事してから2ヶ月以内とされています。

また、いったん届出書が受理された後に、専従者の給与額を勝手に変更できません。変更する場合も同様な手続きが必要です。

ここで問題となるのは、事業主が青色事業専従者(配偶者などの身内ですが)に対してきちんと届出書に記載した通りの給与を支払っているか?と言うことです。これは簡単な記録のみに留まらず、例えば給与口座を作って、そこに振込むなどの自己記録以外に残るものが必要です。

国税庁、専従者給与と専従者控除→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2075.htm
国税庁、青色事業専従者給与に関する届出手続き→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm
国税庁、青色事業専従者給与に関する変更届出手続き→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/13.htm
国税庁、青色事業専従者給与に関する届出書→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/12.pdf

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102