0240 ていレベル読書1 「外資系の流儀」

外資系の流儀 (新潮新書)

外資系の流儀 (新潮新書)

この中に出てくる外資系企業の下で日々戦うエリートビジネスマン、ビジネスウーマン?は、私のような者からすればスーパーマン以上、もはや「宇宙人」で、別世界の話ではなく、遥か彼方どこか、惑星からのレポートとして読んでいました。

もちろん本のタイトル通り、著者本人の外資系企業で働いた体験や、現役バリバリで現在も活躍している方たちの実体験の話で構成されているので、「ケツの毛まで抜かれる」と言う外資系企業の厳しいウワサは、噂以上。もっと過酷な現実をこの本は覗き見させてくれます。

外資系企業で生き延びてゆくこと。キャリアアップを構築してゆくこと。また、外資系で成功してゆくには、何程の努力が必要で、どのようなリスクがあって、それはいったいどのようなレベルであるのか。頭脳明晰なんてものは前提条件、尋常ではない体力の持主であることが最優の武器とされ、ありとあらゆる経験を能力として装備しないと連勝しない厳しさが語られています。日本企業と違って、外資系企業では終身雇用の形態はなく、一定期間内に実力で出世していかないと、辞めることになるそうです。短期間で実績を上げ認められるには、目の前の仕事をこなし勝ち続けなければならないのです。

ここに出てくる外資系企業は、グローバルであることはもちろん、世界の中でも有名である前に「超」がつく優良企業です。外資系企業の方が日本企業に比べて中途採用では寛容、転職族にはキャリア形成の手段として外資系を選択。しかし、相手は世界的な一流企業、簡単に採用が決まるとすれば、そもそもかなりのエリートでないと、入口にすらたどり着けません。

著者である佐藤智恵さんも、驚くほどの素晴らしい経歴なのですが、この「外資系の流儀」に出てくる人たちの経歴は、読んでゆくに連れて佐藤さんの経歴ですら普通に思えてくるほどのレベルなので、おそらく宇宙人です。その彼ら(彼女ら)の働きぶり、本書の中ではさらりと猛烈ぶりを書いていますが、過去の自分の忙しさと比較して想像すると、読んでいるだけなのに目が何十周もまわりました。

考えてみると、このようにキャリアを磨くエリートの方は、高収入は当然の報酬と言えます。一流大学を合格するだけでも、他人より多くの時間を割いて勉強に励み、卒業して一流の企業に入れば必然的に、その職責や仕事に費やす時間も重たいものとなります。私のように缶チューハイを片手にTVを観て、「だらし無い時間」が最優先される者からすると、彼ら(彼女ら)の継続した努力には想像を絶します。

そして、彼らのようなエリートが日々戦うおかげで、ウィンドウズが誕生し、アイフォンが誕生し、いつしかそれらは安価で利用でき、その社会的貢献度や経済波及効果は計り知れないくらい巨大なもので、もし、世界中のビジネスマンが、私のような怠け者ばかりだったら、今尚ウィンドウズは登場せず、アイフォンは永遠に完成しないでしょう、感謝。

日本の企業にしても、それぞれその企業が持っている独自の文化、毎日働いていると知らぬ間に染まっていくものですが、転職して困るのがこのカルチャーの違いで「前会社の常識は、新会社で非常識」となり、このことを私は「カルチャーノック」と名付けていますが、外資系企業ではこのカルチャーノックの破壊力が数倍はあるようです。なにせ合わないと追い出される始末なのですから。

他にも「外資系企業の実態」なるものが、この本を読んで驚きながら伝わってくるのですが、私はそこで果敢に取組むビジネスマンの働きを想像すると、面白くもあるのですが、かなり疲れました。「うわぁ、たいへんだなぁ」と何度も呟きながら入っていました。

少し残念なことは、外資系企業では有給休暇や育児休暇などの福祉的な制度、ワークライフバランス等は、日本企業より利用し易い制度、あるいはカルチャーが構築されている、少なくともTV番組では外資系企業のそう言った面が印象に残っていたのですが、これも「そんなものはない」と、簡単に切り捨てられてしまいました。甘くないですねぇ。
もともと私は、他の会社はどのような仕事をして、どのような環境なのか?等にすごく興味があるので、この「外資系の流儀」もあっという間に読み終えました。著者である佐藤智恵先生には、是非パート2なるものをチャレンジして欲しく、期待しています。

私個人的には、外資系で戦うビジネスマン(ウーマンも)の1日のスケジュールや、社長業では多いときに、どれくらいの人と合うのか、また、どのような人とどれくらいの時間を割いて会うのか等、より細部の過酷な日常と、息抜きは何?って興味が湧きます。

応援していますので、どうぞ次回作を、宜しくお願い致します。