0242 所得税49 事業所得19 消費税の計算1 

事業所得等における青色申告損益計算書の項(当ブログ0236事業所得14損益計算書http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130123)にある(8)租税公課について、どういう計算で算出するのか?です。2回に跨いでお送りします。

まず、「租税公課」として費用算入できる範囲ですが、年度中に納付額が確定していることが前提となります。
その中で算入できる税金は「固定資産税」「不動産取得税」「地価税」「特別土地保有税」「事業税」「事業所税」「自動車税」「自動車取得税」「自動車重量税」「登録免許税」「印紙税」「鉱区税」「鉱産税」等と、税込経理での「消費税」です。

所得税」「住民税」「相続税」のほか、加算税や延滞税、地方税における加算金、延滞金などは租税公課として費用算入はできません。

上記のうち固定資産税や取得に係る課税は、規定によって金額が確定しますが、消費税については、自己で計算しなければなりません。なので、消費税の計算について簡単に「お勉強」しましょう!

消費税の概要について(例えば、免税事業者や中間納税等について)は「当ブログ0223→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20121127」でお伝えしましたので、今回は消費税の算出についてに絞ります。

消費税の納税額算出は「預かり消費税 − 支払消費税」です。特に税込計算では、売上にも仕入れにも消費税が含まれていますから、その中の消費税分を算出する必要があります。

消費税は現在5%のうち4%が国税で1%が地方税となっており、消費税納税額計算では国税地方税を分けて算出します。ですから消費税を計算するとき、まず国税分の消費税を算出、「課税標準額 × 4% = 消費税額」で、この国税分の消費税額に25%を乗じて地方税分の消費税として算出されます。
と、その前に似たような言葉の違い、「用語」を押さえておきましょう。

<非課税>(国税庁、消費税の非課税→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm
社会的配慮から政策的に消費税を課税しないもので、土地、有価証券、商品券の譲渡(売り買い)、預貯金の利子、給与や社会保険料などが非課税項目となっています。

<不課税>(国税庁、消費税の不課税→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6157.htm
国内の通常取引(事業などで対価を得る資産譲渡と輸入取引)に該当しない取引では、消費税の課税範囲ではないので、そもそも消費税が掛けられません。寄附や贈与、出資に対する配当、国外での取引などです。

<免税>(国税庁、輸出取引の免税→http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6551.htm
課税関係が成立している上で、納税を免れるという制度上の条件を設けているものです。例えば、海外に輸出する商品の場合、外国で販売してもその売上から消費税を取ることができません。言わば「特例」のような位置づけです。

<課税売上高>
課税売上高とは、「売上金額−課税売上に該当しない売上」です。ここで問題なのが‘課税売上に該当しない売上’で、つまり課税売上でないものとは、前述した非課税取引の売上を差引く計算になります。

課税標準額
課税標準額とは、上記の課税売上高(税込)に「105分の100」を乗じた金額です。「課税売上高×100÷105」=「課税売上高×1÷1.05」=「課税売上高÷1.05」、つまり税込価格を税抜価格にする計算と同じです。

<消費税額> 
消費税額(国税分) = 「課税標準額 × 4%」 = A
消費税額(地方税分)= 「A × 25%」
なぜか、国税分の4%を先に計算して、その金額に25%をかける算出規定になっています。

消費税算出の大まかな流れでゆくと(税込計算の場合を想定しています。税抜きの場合は仮受け消費税と仮払い消費税の差額から算出します)、

(1) 課税売上高の算出
まず、課税売上ではない非課税取引の売上を差引いて課税売上高を出します。このとき免税取引は課税売上高の中に含まれます。不課税取引は、そもそも売上に計上されていません。なので、売上から非課税の分を差引いた金額が「課税売上高」になります。免税取引は一旦、通常の消費税納付額計算の中に含んで算出され、別の免税手続きによって還付されることになります。つまり「課税売上=売上−非課税売上」なのですが、この時「課税売上高÷売上」が95%を下回ると、算出方法が異なります。詳しくは本編ブログの最後に紹介する「平成24年分 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き(税務署発行)」のPDFでご確認下さい。

(2) 課税標準額と消費税額の算出
課税標準額はいわゆる「税抜きの課税売上高」です。これに4%を乗じて消費税額を出しますから、「消費税額  = 課税売上高 × 4 ÷ 105」となります。つまり課税売上高に105分の4を乗じた金額です。

(3) 課税仕入高の算出
課税売上高と同様に非課税分の仕入高を差引きます。

(4)納付する消費税額
通常は、この課税仕入高に105分の4を乗じて「課税仕入にかかる消費税額」を算出して、
消費税額から課税仕入にかかる消費税を差引けば、国税分の消費税納付額が計算できます。
その計算した額に25%を乗じれば地方消費税額が出てきます。
「課税売上高×4÷105」−「課税仕入高×4÷105」=納付消費税額(国税
「納付消費税額×25%」=納付地方消費税

単純には上記のような流れなのですが、実際に納付する消費税額を算出するまでには、上記以外にも様々な計算手続きがあります。
この課税仕入高以外、純粋な商品の仕入以外にも、消費税納付額を算出する場合には、支払消費税が生じた全ての費用を加算します。例えば、事業に必要な建物や設備、土地取引は不課税ですが、建物や設備の購入には支払消費税が含まれています。これらの固定資産は会計上では減価償却として繰延分散される費用計上ですが、消費税は申告時に支払消費税として計上します。

それから、課税売上高÷売上高が95%を下回った場合には、この課税仕入高は全額控除にならず、その比率に対して控除額を算出します。(この計算には個別対応方式と一括比例配分方式の2つがあります)

また、納付する消費税額が確定するまでには、貸倒等に関する計算や中間納税などの調整を行い、最終的に納付額が確定します。

上記の消費税額算出について、詳しい計算や申告書の記入等については次のPDFを参考にして下さい。
※税務署が発行する「平成24年分、消費税及び地方消費税の確定申告の手引き」→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shohi/06_pdf/11.pdf
※上記は一般用で「簡易課税」の分はこちら→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shohi/06_pdf/12.pdf
国税庁、消費税確定申告に関する書類等→http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shohi/06.htm

★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102

外資系の流儀 (新潮新書)

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上記の書籍のガイドは→http://sotton.hatenablog.com/entry/2013/06/14/230742