0253 所得税59 事業所得29 貸倒引当金

貸倒引当金は事業所得の場合、青色申告の特典として利用できます。

事業において営業上では、取引先の経営状態によって売掛金受取手形等の期日に入金されるものが回収できなくなるリスクがあります。相手先が倒産などをすれば全額回収不能ということも考えられます。このような事態に備えて「貸倒引当金」は、その回収不能な金額を合理的に算出して費用計上できる制度です。

対象とされる債権は金銭債権で売掛金受取手形、未収入金、事業上の貸付金などが該当します。事業ではない家事上での貸付金は対象となりません。また事業上であっても保証金や敷金等、手付金のように、予め全額もしくは一部が返金されない契約に関しても対象外になります。配当や預貯金も対象になりません。
貸倒引当金は、引当金の種類でも評価性引当金と呼ばれるもので、資産勘定の引当金で法人企業の損益計算書であれば、売掛金に対する引当となるので売掛金の下に控除科目として記載されます。

事業所得の場合には、青色申告損益計算書の右端の欄に貸倒引当金は「繰戻額等」「繰入額等」と記入します。この場合、今期に損失が確定している金額は、損益計算の中央の欄(24)に「貸倒金」とう科目があるのでその欄に記入します。引当金は通常、今期の決算時に対して、来期に損失が見込まれて計上するので、その引当金が「繰入」にあたり、「繰戻」は前期分の見積もり額なので、そのまま戻す、つまり売上と同様に加算項目になります。これで「貸倒金−繰戻引当金」で確定した費用は相殺され、余った分が戻され、新たに「繰入引当金」を費用計上するようになっています。

さて、この貸倒引当金の繰入額の算出ですが、個別評価による算出と一括評価による算出を足した金額を繰入額とします。

(1)個別評価
会社更生法民事再生法、破産法により回収不能、または弁済条件が5年を超える分割弁済であったときには全額繰入となります。
●相手先の財務状況が債務超過であった場合、回収不能である額を繰入額とします。
民事再生の申し立て、破産法の申し立てを行っている相手先、手形交換所の取引停止処分となった相手先に対しては、その金銭債権(売掛金等)の50%、半分を繰入額とします。

(2)一括評価
決算日の12月31日現在の対象となる金銭債権(売掛金等)に5.5%を乗じた金額、金融業の場合は3.3%を乗じた金額が繰入額となります。
国税庁、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲→http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5500.htm

貸倒損失を確定する場合、客観的な一定の根拠が必要となります。単に相手先と連絡が取れない等では認められない場合があり、取引相手が民事再生法や破産法の手続きを行っている、もしくは繰返し督促を行い、支払いがされないまま取引停止をして1年が経過すれば損失として認められます。

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