0252 所得税58 事業所得28 引当金と準備金

引当金の考え方は、収益と費用の期間対応の番外編といったところです。

通常、企業の営業活動を1年で区切ると、その期間に生じた費用は、その期に獲得した収益のために費やされたものが殆どです。その上で、収益に対する期間費用を正確に行うため、前払費用、前受収益、未払費用、未収収益(これらは経過勘定とよばれています)を適切に処理します。

これらの収益と費用の関係は、まず金額が確定していて取引の発生から現金化されるまでの、言わば決済の「ズレ」を期間に応じて会計処理を行うことです。
しかし、引当金では金額の確定を合理的に算出した「見積額」とされ、期間的なズレではなく、当期以前に起因する費用や損失の発生可能性としています。引当金については次のように定められています。

● 将来の特定の費用または損失で、その発生の可能性が高い。
● その発生が当期以前の事象に起因している。
● 金額を合理的に見積もることが可能である。

税法で必要経費として算入が認められている引当金は3つで「貸倒引当金」「返品調整引当金」「退職給与引当金」となっています。尚、事業所得として引当金の制度を利用するには青色申告の手続きが必要です。

(1)貸倒引当金
売掛金受取手形等は、約束した期日に現金化され、入金となるわけですが、相手先の軽状態が悪ければ支払い額の一部、もしくは全額入金されない場合も考えられます。これを「貸倒損失」と言いますが、この損失に備えて一定額を費用として計上できる制度です。

(2)返品調整引当金
この引当金の科目は医薬品や出版物など限られらた事業で、返品条件を特約とされた販売契約によるもので、その返品額を合理的に算出して引当金とし、費用計上します。

(3)退職給与引当金
従業員に対して退職給与規定を約束している場合、退職時に支払う退職給与に備えて一定額をその期に経費として計上できる制度です。

準備金に関しては租税特別措置法として規定されています。積立額として経費計上が認められていますが、算出方法も定められています。
準備金の種類は以下のようなものがあります。尚、これらの規定や算出につていは国税庁ホームページ、または税理士や税務署等にお問い合わせ下さい。一応、参考となるホームページを紹介しておきます。
(1)金属鉱業等鉱害防止準備金→http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/030228/03/03_68_44.htm
(2)特定災害防止準備金→http://www.hkd.meti.go.jp/hoknk/info_jarisai/04.htm
(3)特定廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金→http://www.env.go.jp/hourei/syousai.php?id=11000269
(4)特別修繕準備金→http://www.maff.go.jp/j/aid/zeisei/gyo/pdf/syuzen.pdf
(5)深鉱準備金→http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/04/04_58.htm
(6)農業経営基盤強化準備金→http://www.maff.go.jp/j/aid/zeisei/nou/pdf/109.pdf

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