0255 所得税61 事業所得31 退職給与引当金

退職給与引当金は事業主が、従業員に対して労働契約上に退職給与規定を定めている場合、その退職給与に対する引当金を費用計上できる制度です。事業所得では青色申告の特典として設けられています。ただし、生計を共にする配偶者や親族(青色事業専従者)は対象外とされています。

● 退職給与規定の範囲は次のように定められています。

(1) 労働協約による退職給与の支給に関する規定。                                                            労働協約とは、労働組合と使用者との間で締結される労働条件条件や待遇です。

(2)就業規則によって定められている退職給与に関する規定。
就業規則とは、職場の労働における規則や規律を具体的に細かく定めた条件です。この規則は労働基準法の規定以上の条件であることで、その事業場における最低基準としての抗力を持ちます。つまり、就業規則以下の条件で労働契約は成立しないことになります。ただし、就業規則の作成、届出は常時10人以上の労働者がいる事業場です。

(3)上記(1)(2)以外で、退職給与の規定を作成して定め、管轄の税務署長に届出、受理された条件。

繰入限度額の計算は3種類あります。

(イ)当期発生基準
「期末退職給与の要支給額」−「前期末退職給与の要支給額」
この場合、前年と当年の差額を繰入額とするものです。前年と当年と引続き在職している者で計算します。要支給額とは、対象となる従業員が一度に全員辞めた時に必要となる退職給与の総額です。

そもそも、退職金の支給する旨は就業規則に明記する必要があります。ただし、就業規則を作成するときに、最低限の規則を定める「絶対的必要記載事項」と使用者の任意で定める「相対的必要記載事項」とがあります。

絶対的必要記載事項は、始業と終業の時刻、休憩や休日について。それと賃金の決定や計算支給等があります。解雇の事由もそうです。

退職金の規定は相対的必要記載事項に該当し、つまり、退職金の支給規定がなくても違反にはならず、法的な規制外となります。しかし、事業者側が退職金を支払う意思があり、それを従業員に約束する場合には、就業規則に退職手当の条件を記載します。その記載事項には必ず、適用される従業員の範囲、退職手当の金額、その計算方法と支払方法、支払の時期に関することを明記しなくてはなりません。
従って、退職給与引当金の繰入限度額は上記のように、算出方法につていは大枠で規定がありますが、細かな計算は各事業場にある就業規則の計算規定から導くことになります。

(ロ)累積基準
「期末退職給与の要支給額×20%」−「前期繰越退職給与引当金の金額」

(ハ)給与総額基準
「期末従業員の年間給与総支給額×6%」
従業員とは退職給与を受ける対象者になります。

上記を参考に(1)の労働協約で退職給与の規定がある場合、繰入額の算出は(イ)か(ロ)のどちらか少ない方の額を繰入限度額とします。
また、(2)(3)の就業規則に規定されている場合、もしくはその他の規定を設けている場合は(イ)(ロ)(ハ)のいずれかの一番少ない金額を退職給与引当金繰入限度額とします。

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