0311 所得税114 給与所得19 有給休暇

「法定休日」は、そもそも労働義務がない日のことで、「所定休日」とは労働を免除する日で、事業場での労使協定や就業規則などで定めている休日です。

これに対して「休暇」とは、労働義務がある日に、労働者の請求によって休日を付与し、労働を免除することです。この休暇も労働基準法で規定されている「法定休暇」と、事業場で定められた就業規則等による「法定外休暇」があります。

法定休暇に該当するものは「年次有給休暇」の他、「産前、産後休業」「育児休業」「介護休業」がありますが、今回は「年次有給休暇」の扱いで、産休、育児休などについては次回に引き継ぎます。

年次有給休暇は、正社員とパートタイマーなどの非正規雇用とで条件が異なります。
(1)正社員の年次有給休暇付与日数
まず、出勤率が全出勤日の80%以上の出勤であるという要件を満たす必要があります。年月は勤続年数ですが、パートタイマーから社員になったり、定年退職者が再雇用されたり、休職していたものが復職しても、継続勤務にあたります。以下、勤務年数に対する年次有給休暇付与日数です。
6ヶ月:10日   1年6ヶ月:11日   2年6ヶ月:12日    3年6ヶ月:14日    4年6ヶ月:16日      5年6ヶ月:18日      6年6ヶ月以上:20日

(2)パートタイマー(非正規雇用)の年次有給休暇付与日数
ただし、以下に該当する者は1週間の合計労働時間が30時間以上で週間の所定労働日数が5日以上、または年間所定労働日数が217日以上の者は、上記の「正社員」と同じ扱いになります。
所定労働日数週間4日・年間169日〜216日・勤続年数6ヶ月:7日、1年6ヶ月:8日
2年6ヶ月:9日、3年6ヶ月:10日、4年6ヶ月:12日、5年6ヶ月:13日、6年6ヶ月以上:15日
所定労働日数週間3日・年間121日〜168日・勤続年数6ヶ月:5日、1年6ヶ月:6日
2年6ヶ月:6日、3年6ヶ月:8日、4年6ヶ月:9日、5年6ヶ月:10日、6年6ヶ月以上11日
所定労働日数週間2日・年間73日〜120日・勤続年数6ヶ月:3日、1年6ヶ月:4日
2年6ヶ月:4日、3年6ヶ月:5日、4年6ヶ月:6日、5年6ヶ月:6日、6年6ヶ月以上:7日
所定労働日数週間1日・年間48日〜72日・勤続年数6ヶ月:1日、1年6ヶ月:2日
2年6ヶ月:2日、3年6ヶ月:2日、4年6ヶ月:3日、5年6ヶ月:3日、6年6ヶ月以上:3日

●時間単位年休
有給休暇は通常、「日」単位の休暇ですが、労使協定の締結によって時間単位でも請求できるようになりました。ただし、年次有給休暇の5日以内分とされていて、

年次有給休暇の計画的付与
有給休暇は通常、従業員の請求によって休暇が与えられます。しかし、場合によっては従業員からの請求が消極的で、付与日数の未消化も起こってきます。このようなことを勘案して会社側が計画的に従業員の休暇を付与することができます。ただし、これも労使協定の締結が必要で、年次有給休暇の5日を残し、超えた日数について会社側が休暇日程を定めることができます。例えば、正社員で勤続10年目であれば年間20日の有給休暇の付与がありますが、会社側が日程を決めて休暇の付与できる最大日数は15日となり、残った5日が従業員の自由に請求できる年次有給休暇となります。

年次有給休暇の賃金計算
有給休暇の賃金計算は、就業規則などに明記する必要がありますが、通常では以下の賃金計算から選択することになります。
(1)平均賃金(2)所定労働時間における通常賃金(3)健康保険法の標準報酬日額に準ずる金額(労使協定締結が必要)。

●法定外休暇
法定外休暇は法定休暇より多くの休暇を従業員に付与することになるので、従業員にとって不利な規定にはなりません。就業規則などに定める必要があります。

有給休暇の振替については、例えば病気等で数日間、出勤できなくてその休みを有給休暇に振替る場合、明確に禁止されていることではありませんが、休暇の趣旨は「リフレッシュ」にあるので、振替をする場合には就業規則などで定める方が良いとされています。

また、年次有給休暇の請求権は2年で消滅、つまり休暇に未消化があっても2年で時効となります。このような場合に会社が有給休暇の未消化分を「買上る」ようなことがありますが、時効にかかった分や、退職などで使い切っていない分、法定外休暇の買上げは許されていますが、年次有給休暇そのものを買上げることは違法となります。

★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
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