0310 所得税113 給与所得18 休憩、休日、遅刻、早退

賃金計算において、労働の対価として支払う賃金は原則「ノーワーク、ノーペイ」、つまり、働いていない部分の支払はありません。(ただし、法的には規定していません)

この「働いていない部分」とは、一ヶ月単位あるいは1日単位でみたとき、休日の扱いと休憩の扱いがどのように為されているかで、給与計算に算入する「賃金」の範囲が変わってきます。法的な規則は最低限の規則ですので、労使協定や就業規則などで定められている規定が優先されますが、ここでは法律の規定(労基法34条)をみてゆきます。

●休憩時間
休憩の付与は6時間超〜8時間以下の場合で最低45分、8時間超で1時間以上となっています。
6時間以下の労働では休憩時間を与える必要はなく、仮に8時間の労働であれば45分でOKで、8時間を超えて延長時間が何時間であっても1時間の休憩を与えれば違法でありません。
尚、休憩時間の付与は労働時間の途中でないとダメで、労働の前後は認められていません。(途中付与)、また休憩時間は従業員一斉に与える規定(一斉付与)ですが、運輸業や商業、接客業などの一定の業種に関してはこの限りではなく、労使協定によっても休憩時間の一斉付与をしなくてもOKとなります。
休憩時間は原則、自由行動を認めなければなりません(自由利用)。この場合も警察官や消防士など一部該当しない職業があり、事業場から外出を許可制にすることは、自由の拘束でなく管理上の問題なので違法にあたりません。

●休日
休日には労基法で定められた「法定休日」と、労使協定、就業規則などによって定める「法定外休日(所定休日)」があります。
法定休日は毎週1回、4週間で4日の付与が労働基準法での規定です。法律上の休日付与はこのように祝日を休日にする、週休2日制にする、なのどの規定はありません。
一般的な週休2日制や、祝日を休日にしたり、年末年始やお盆休みなどを休日にすることを「所定休日」と呼んでいます。この場合は法定外休日にあたるので、労使協定や就業規則で、使用者と労働者との相談によって規定を設ける必要があります。ただし、これらの規則に定めがない場合でも、法定休日以上の休日を付与することに問題はありません。
休日出勤による割増賃金の計算は、通常賃金の35%割増となりますが、この場合の「休日」とは、法定休日を指しますので、所定休日などの法定以上の休日においての出勤は、割増賃金の対象になりません。
休日の扱いにおいては「休日の振替」や「代休」となるものがありますが、「振替」の場合は、所定休日を出勤日に変更する意味なので、予め就業規則などに休日振替の規定を設け、振替日の特定や事前の通知、4週間以内の振替などの要件を満たせば、振替休日に割増賃金の必要はありません。
「代休」の場合は、法定休日に出勤して、その後に休日の代替え日を決めて休日とします。従って法定休日にあたる出勤は、後で代休があっても割増賃金が必要で、代休を行う義務は法律上ありません。

●遅刻、早退、欠勤
この遅刻や早退による賃金の計算は、通常では就業規則などに定めている規定に沿って計算することになります。従って各事業所単位で規定する規則「給与計算規定」などを手がかりに、その部分の実質「賃金カット」を算出することになります。
賃金計算は一般的には「ノーワーク、ノーペイ」の働いた時間だけ賃金が発生する、ことを前提としていますから、就業規則等で特別の定めがない場合には、その分が賃金カットされて支給されます。
もちろん、就業規則などで細かく遅刻は何時間まで賃金に反映されない、欠勤は年間3日まで「欠勤給与扱い」とされない、等の規定があれば賃金のカットはありません。
遅刻や早退の計算は、給与を時給換算して、その労働しなかった時間分を差引く算出ですが、この計算においては全ての手当を含む総額で時給を算出するのか、あるいは一部の手当のみ計算に算入させるのか、手当の算入はなく基本給のみで計算するのか、給与のどの範囲まで算入して平均賃金の時間給を算出するのかは、その事業場に規定された就業規則などによります。

※デジタルたまごや、法定休日→http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/2006/04/192.html
★労使協定→http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130824/1377343602
就業規則http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130708/1373245295
労働協約http://d.hatena.ne.jp/sotton+column/20130802/1375405181
★賃金計算の概要(給与計算)→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130819
★当ブログ0231免責事項をお読み下さい。→http://d.hatena.ne.jp/sotton/20130102